研究課題
本研究課題の目的は、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell: DFAT)を用いた周産期低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する新規治療法の開発を行うことである。27年度は、ラットHIEモデルにおいて、DFATを投与した後の行動評価(学習障害、運動障害改善効果の確認)を行った。生後7日齢ラットを用いHIEモデルを作製し、受傷24時間後にDFAT 1×10^5個/100μlを外頸静脈から投与し、2週間後より運動障害改善の評価としてRotarod、Cylinder test、学習障害の評価としてNovel object recognition testを行った。Rotarodでは、低酸素虚血負荷でSham(170±13秒)より32%(117±9.2秒)短くなった落下までの時間が、DFAT投与により53%改善した(145±12.3秒)。また、Cylinder testでは、低酸素虚血により健側前肢の使用(健側使用時間-患側使用時間/全使用時間)が3.1±2.8%(Sham)から17±3.2%(Vehicle)となったが、DFAT投与により12±2.5%に改善した。しかしながら、記憶学習試験、視覚的認知記憶を評価するNovel object recognition testでは3群間に有意な差がなかった(Novel object preference : Sham, 0.45±0.06; Vehicle, 0.4±0.07; DFAT, 0.39±0.06)。
2: おおむね順調に進展している
行動評価は個体間のばらつきも多く、何度も施行する必要があったが、予定通り進めることができた。
最終年度は、神経新生の評価、行動評価後の組織評価、細胞培養系での評価を行う予定である。
当初予定していた細胞培養系の実験の試薬、組織評価の試薬を今年度に購入しなかったため。
28年度に購入予定
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (1件)
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