研究課題
神経細胞培養系を用い、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells:DFAT)の培養上清(DFAT-CM)の保護効果を評価した。胎生16日目胎児脳の皮質から神経細胞を培養し、培養8日目に、無グルコース培養液に交換した上で1%低酸素負荷することにより神経細胞死を誘導した。細胞死を誘導する24時間前あるいは48時間前にDFAT-CMを投与したところ、神経細胞死が抑制された。DFAT-CMに神経保護効果があることが示された。また、DFAT培養上清中とDFAT投与後の脳内の各種神経栄養/成長因子に関して検討した。DFATを24時間培養した培養上清中の各種因子をELISA法にて測定したところ、NGF(20.7±0.9 vs. 2.0±0.9 pg/mL、p < 0.001)、IGF-1(41.8±0.5 vs. 36.6±0.3 pg/mL、p < 0.001)、NT3(6.7±2.1 vs. 0 pg/mL、p < 0.05)が有意に上昇していた。また、新生仔HIEモデルラットにDFATを外頚静脈内投与し、投与24時間後の脳内の各種因子を測定したところ、受傷側でIGF-1(224±33 vs. 96±2.7 pg/mL、p < 0.05)、NGF(22.2±0.7 vs. 16.7±1.6 pg/mL、p < 0.05)の上昇を認めた。HIEに対するDFATによる治療機序において、神経栄養/成長因子によるパラクライン効果の可能性が考えられた。
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Developmental neuroscience
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10.1159/000455836