研究実績の概要 |
【目的】我々は2016年に神戸大学新黄疸治療適応基準(新基準)を提唱した。この新基準を用いた早産児の黄疸管理の現状を把握し、中村の基準(旧基準)と比較することを目的とした。 【対象と方法】我々は、倫理委員会承認のもと2015年4月から新基準の運用している。2015年4月から2017年12月までに出生した在胎30週未満の早産児57例を対象とした。22-25週、26-27週、28-29週の3群に分けて1)日齢0-6の黄疸で治療した児の割合(黄疸治療率)と黄疸治療の内訳、2)日齢0-6、7-13、14-20、21-27、28-に分け、黄疸治療率、黄疸治療適応の内訳を旧基準での場合と新基準で比較した。 【結果】1)黄疸治療率は全体で98%、光線療法Lowモード/Highモード/交換輸血は、それぞれ82%、18%、1%であった。日齢0-2では総ビリルビン(TB)での治療適応が多く、日齢3-4、5-6ではアンバウンドビリルビン(UB)での治療適応が多かった。2)黄疸治療率(新基準 vs.旧基準)は、日齢0-6(98% vs.98%, p=0.75)、日齢7-13(43% vs.89%, p<0.01)、日齢14-20(20% vs.59%, p<0.01)、日齢21-27(18% vs.46%, p<0.01)、日齢28-(28% vs.44%, p=0.06)で、日齢7-13、14-20、21-27で有意に減少した。黄疸治療適応の内訳は旧基準では、新基準と比較して日齢7-13、14-20でUBでの治療適応が有意に多かった(p<0.05)。 【結語】新基準では生後1週間以内で日齢の早い時期ではTB適応が多く、日齢の遅い時期はUB適応が多かった。また、旧基準に比べて、日齢7以降で黄疸治療率が有意に少なく、特にUBでの治療適応が有意に少なくなった。
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