研究課題/領域番号 |
26461636
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
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研究分担者 |
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 助教 (50451430)
割田 克彦 香川大学, 医学部, 助教 (40452669)
横山 俊史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10380156)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストレス / 脳発達 / コルチコステロン / 神経回路網形成 / 末梢臓器関連 |
研究実績の概要 |
生後4-9日齢、3時間/日 母子分離した。離乳後、通常の飼育用餌と高脂肪食(HFD-60 オリエンタル酵母)を投与して、母子分離ストレスに加え、高脂肪食の摂取が、脳とエネルギー代謝関連臓器に与える影響について解析する。今回は、まずストレスによって惹起されるコルチコステロン上昇により脳に起こる動態変化を解析した。 脳は、海馬、大脳皮質、小脳、視床下部などを研究対象とした。まず、ストレス曝露により惹起されるコルチコステロン上昇が脳に及ぼす影響について、コルチコステロン投与した動物の解析を行った。ホモジネイト画分と粗シナプトソーム膜画分を採取し,記憶・学習能あるいは神経回路網形成やその可塑性に重要な因子であるグルタミン酸受容体:NMDA受容体サブユニット(NR2A,NR2B)とCaMKIIα 発現とそのリン酸化(CaMKII-thr286)をウェスタンブロットにて解析した。また、グルタミン酸作動性ニューロンのマーカーとしてVGLUT2とGABA 作動性ニューロンのマーカーとしてVGATの発現も解析した。海馬のウェスタンブロット解析ではGluR1 の発現量がホモジネイト画分及び粗シナプトソーム膜画分共に有意に低下していた。シナプトソーム膜画分ではCaMKIIα の発現には変化が認められなかったが、リン酸化状態が有意に低下していた。一方ホモジネイト画分においては、VGAT 発現に変化が認められなかったが、VGLUT2 の発現量が大幅に減少していた。本研究では発達期におけるコルチコステロン上昇がグルタミン酸作動性ニューロンを中心とした神経回路網形成に恒久的な影響を与えうる事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象領域として、脳とエネルギー代謝関連臓器に焦点を当てている。 当初は、解析すべき脳の部位とサンプル数が多いため時間を要していたが、年度の後半からは、順調に解析が進行している。解析の順序として、脳に次いでエネルギー代謝関連臓器に移りたい。現在、後者の解析が進んでいる。総じて、ほぼ計画の通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究遂行開始から、中枢神経系の解析と末梢脂肪組織の解析を順序立てて行ってきた。実験テクニックが安定しているため、確実なデータを得ている。 今後は、これまでに得たデーターを綜合的に解釈し周生期ストレスと将来の生活習慣病発症基盤の脆弱性とこれに関与する臓器関連について総括を行っていきたい。さらに、今後の研究の方向性を決定する重要な材料としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、当該申請研究がスムーズに進捗したことと、脳の解析を中心に行ったため、研究手技が確立しているためため余計な研究経費がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、脳以外の代謝関連臓器の解析を主として行う予定であるが、これらの臓器は新しい研究対象分野であり、手技の確立と一定のテクニック獲得のため、使用額が増えることが予想される。次年度はこれに充当したい。
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