研究課題/領域番号 |
26461636
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
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研究分担者 |
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 講師 (50451430)
割田 克彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452669)
横山 俊史 神戸大学, 農学研究科, 助教 (10380156)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ストレス / 肥満 / 腸内細菌叢 / 脳発達 / エネルギー代謝 / 肥満 |
研究実績の概要 |
本研究は、脳発達期における母仔分離ストレスが、その後の発育に与える影響について、エネルギー代謝の観点から肥満易発症の機序について検索するものである。 生後早期の母仔分離ストレスにより、体重の増加割合が亢進した。これは視床下部のBDNF受容体TrkBの発現量の亢進up-regulationを示唆し、更にBDNFの放出障害が推測されるものである。神経性調節の場は、視床下部室傍核と弓状核や迷走神経であることを鑑みると、神経栄養因子を介する神経性調節機構の存在が明らかになった。今年度はこれをさらに発展させるべく、実験モデル動物の腸管内の糞便の腸内細菌叢の解析を行った。生後2-20日、6時間/日 母仔分離したラットを21日齢(離乳前)に、腹腔から糞便を取り出して腸内細菌叢の組成の解析を行った。腸内細菌として、Actinobacteria門、Bacteroidetes門、Deferribacteres門、Proteobacteria門、Verrucomicrobia門を中心として網羅的な解析を行った。その結果、母仔分離動物においてはProteobacteria門が最も増加し、次いでVerrucomicrobia門が増加していることが明らかになった。これらは、腸内ミクロビオータのうち準(亜)優勢菌群、あるいは最優勢菌群であり、細菌叢の組成異常が惹起されていることが明らかになった。 近年、腸内細菌叢系統組成の変化が、潰瘍性大腸炎に関与するという研究に先行しそれに引き続き、消化管とは関係のない疾患群、精神神経疾患、代謝疾患、アレルギー・自己免疫疾患などの病因解明へと展開されている。報告者の一連の研究では、代謝疾患や精神神経疾患の原因の1つとして脳発達期のストレスが惹起する脳と腸管の双方向性シグナル機構の破綻に着目していることを鑑みると、今回得られた結果は今後の研究発展が期待できる ものである。
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