研究課題/領域番号 |
26461637
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北島 桂子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00332784)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 左右軸形成 / 糖尿病 / マウス初期胚 |
研究実績の概要 |
妊娠糖尿病などにより高血糖に曝露された胎児では左右軸異常をきたすことが知られている。特に妊娠初期の糖代謝異常の場合、胎児の先天異常が高率になることが指摘されているが、その詳細な発生機序については不明である。我々はマウス7.75日胚を高濃度のグルコース添加培地中で全胚培養に供することで左右軸異常を引き起こす実験モデルを確立した。この実験系における左右軸異常胚では、側板中胚葉やノードで発現する左右関連遺伝子群の左右非対称がランダム化していることを見出した。 一方、これまでに原条のwnt3aがDll/NOTCH経路を活性化し、続いてノードのnodalおよびcerl2の左右非対称発現がNotchシグナルにより制御されていることが報告されているが、その詳細については明らかにされていない。Wntシグナルがノードにおける左右軸決定機構の起点であると仮説を立て、Wnt3aの原条エンハンサーの探索をトランスジェニック法により行ったところ、活性を有するエンハンサー候補領域を2カ所特定することに成功した。 また、ノードにおけるnodal、cerl2、wnt3/3aの発現調節機構として、Dll/Notch シグナル経路の他、Wnt canonical経路も考えられることから、wnt-βcateninシグナルレポーターマウス、およびNOTCHシグナルレポーターマウスを作出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、高グルコース培地で引き起こされる左右軸形成異常が、nodal、cerl2、pitx2の左右差異常によることが明らかとなった。またWnt3aの原条エンハンサー領域が特定できたため、引き続き、エンハンサー領域に結合する転写因子の探索を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病によって引き起こされる先天性の左右軸異常のメカニズムを解明するため、WntシグナルとNOTCHシグナルとの関連性を明らかにする。 wnt3aの発現を制御する転写因子を特定し、解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究は全胚培養、エンハンサー解析が主であった。当研究室が現在所有する設備で解析を進めることが可能であった。研究の更なる発展に対応するため、予算配分を見直した。
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次年度使用額の使用計画 |
現在進めているエンハンサー解析によって得られた結果に基づき、必要な器具、試薬等を購入する。また新たに作出したNotchシグナルレポーターマウス、Wntシグナルレポーターマウスについても解析を進める。
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