我々は妊娠糖尿病による胚の左右形態異常が高血糖に起因するものであると結論づけた。その分子機序として、高濃度グルコースに晒された胚では原始結節のNodalとCerl2の発現が減弱した結果、側板中胚葉でNodalの発現が誘導できなかったためと考えられる。左右軸の決定は、原始線条のWnt3aがDll/Notch経路を活性化し、続いて原始結節において左右関連遺伝子群の左右非対称発現がNotchシグナルによって制御される。我々はWntシグナルが原始結節における左右軸決定機構の起点であるという仮説を立て、原始線条に発現するWnt3aの転写制御を行う転写因子の同定に至った。
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