生活習慣病胎児期発症説は疫学・動物実験により研究が行われているが、ヒトにおいて妊娠時の低栄養が胎児臓器の発生分化にどのように関与するかを実験的に評価することは困難である。そこで、本研究ではヒトiPS細胞の膵臓分化誘導系を用いて、細胞に対して単一アミノ酸除去培地による低栄養負荷を与え、その後の細胞の機能を評価した。検討の結果、分化の特定の段階である種のアミノ酸を除去することにより、その後のインスリン陽性細胞数が低下することを見出した。げっ歯類を用いた研究で胎仔期の低栄養による出生後の膵臓β細胞数減少が報告されており、iPS細胞分化系はBarker説の検証に有用であることが示された。
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