研究課題
今回研究で使用する3種のプロバイオティクスであるLactobacillus reuteri、Lactobacillus brevis、Bifidobacterium breveの菌数の調整を行い、次にL.reuteriおよびL.brevisは好気的に、B.breveは嫌気的にMRS培地に培養条件を確認後増殖培養を行った。続いて、Caco-2細胞の培養条件を検討し、ストック保存と安定増殖培養を確認した。さらにCaco-2単層細胞培養を膜の抵抗値を測定することにより確認した。新生仔マウスを母乳群(Dam群)と日齢2より人工哺育する群(AR-2群)に分けた。両群マウスとも日齢14に解剖し、胸腺、脾臓、小腸における免疫担当細胞の数や細胞組成の変化についてフローサイトメトリーを用いて解析し、比較を行った。自然免疫細胞についてはAR-2群においてγσT細胞、iNK細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージ、顆粒球が脾臓、腸管でいずれも増加を示した。獲得免疫細胞については、脾臓、腸管、供せ念でCD8+T細胞がAR-2群において増加した。人工乳群において自然免疫細胞やCD8+T細胞が母乳群に比較して腸管のみならず全身性に活性化されていた。低出生体重児へのプロバイオティクス投与の有用性につき検討するにあたり、生後早期のB.breve投与のその後の腸内細菌叢への影響を調査した。日齢0からのB.breve(M-16V)投与により1か月と1歳のサンプルからM-16Vと思われる産物が検出されたが、一部のサンプルから菌株を分離したところ、1か月糞便サンプルからのみM-16Vと思われる株が確認された。また、特異的プライマーの再設計により、現行プライマーの特異性には問題が在ることが示されたため、新規プライマーにより再検討を行った結果、1か月のサンプルからのみM-16Vと思われるPCR産物が検出された。
3: やや遅れている
まずプロバイオティクスの入手が遅れたため、L.reuteri、L.brevis、およびB.breveを実験に使用するための培養および調整が遅れた。さらにCaco-2細胞の単層細胞培養ならびに抵抗値の測定に時間がかかり、細胞培養ならびに動物実験の開始に遅れが出たため当初の計画より進行が遅れることとなった。
人工飼育にて消化管粘膜の免疫応答について検討を行った新生仔マウスにおいて、プロバイオティクスの消化管免疫応答への影響を検討していく。また極低出生体重児に対するプロバイオティクスの消化管免疫応答について、M-16Vの定着を認めているNICU退院後1年以上経過した群についても併せて検討を行っていく。
プロバイオティクスの入手および調整、ならびにCaco-2細胞の単層培養に時間を要したため、Caco-2細胞ならびに新生仔マウスを用いた実験を開始することができず、したがって消耗品費の支出が予定を下回り、次年度使用変更が生じた。
次年度は本年度行えなかった実験を行い、学会発表を行うため、本年度分の消耗品費および旅費を使用する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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