研究課題/領域番号 |
26461644
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
平山 哲 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10345506)
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研究分担者 |
横山 和仁 順天堂大学, 医学部, 教授 (00158370)
竹田 省 順天堂大学, 医学部, 教授 (20143456)
北村 文彦 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20301145)
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
西岡 笑子 防衛医科大学, 保健学研究科, 教授 (70550797)
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70570894)
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リポプロテインリパーゼ / インスリン抵抗性 / 妊娠 / 臍帯血 |
研究実績の概要 |
【背 景】妊娠はインスリン抵抗性を増悪させ、トリグリセリド(TG)リッチ-リポ蛋白(TGRL)が増加する。粒子サイズが大きいTGRLは胎盤を通過できないが、リパーゼがTGを分解して生じる遊離脂肪酸は、胎児側へ移行し、胎児発育を促進させる。しかし、一般にインスリン抵抗性は、血管内皮に結合するリパーゼ活性を抑制する。よって、妊娠時のインスリン抵抗性は、母体由来のリパーゼ活性を抑制する。一方、リパーゼ活性は胎盤においても検出されるため、妊娠時のインスリン抵抗性の増悪は、逆に胎盤におけるリパーゼ活性を上昇させる可能性がある。 【目 的】正常妊婦を経時的に追跡調査し、妊娠時のインスリン抵抗性の増悪とリパーゼ活性の変動による脂質異化の作用機序および胎児発育との関連を解明する。 【方 法】妊娠合併症や妊娠糖尿病のない女性 90名から、妊娠初期(12週)、妊娠中期(25週)、妊娠後期(36週)の各時期において、経時的に早朝空腹時採血を施行した。健常女性27名からも早朝空腹時に採血した。血清脂質、糖代謝関連検査値、リポプロテインリパーゼ(LPL)濃度を測定し、妊娠中の経時的変化を検討した。 【結 果】妊娠中、特に妊娠中期以降にインスリン抵抗性が増大し、糖および脂質代謝は大きく変動した。しかし、出産後に血中インスリン濃度は低下し、インスリン抵抗性は改善した。妊娠初期のLPL濃度は、68±21 ng/mLと健常女性に比し、約21%低かった。さらに、妊娠中期以降、LPL濃度は約28%(中期)~35%(後期)ほど経時的に低下した。一方、出産後にLPL濃度は、妊娠初期と同程度(妊娠初期時の約93%)まで回復した。 【結 論】妊娠中にインスリン抵抗性とLPL濃度は大きく変動し、糖および脂質代謝に影響する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠時の糖および脂質代謝変動と胎児発育の関係を明らかにするため、正常妊娠女性からの妊娠初期、中期、後期、出産後3日の血液サンプル採取(90名分)を完了している。 妊娠女性におけるインスリン抵抗性の変化に加え、LPL濃度の変動を解析し、糖および脂質代謝への影響を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠時のインスリン抵抗性、LPL濃度、糖および脂質代謝変動に加え、臍帯血中のLPL濃度および糖・脂質代謝動態を検討し、これらのパラメーターと胎児発育の関係を明らかにする。LPL変動と胎児発育の関連について、解析がうまく進まない場合、インスリン抵抗性の増悪と脂質亜分画検査、周産期合併症、胎児発育との関連を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臍帯血中のリポプロテインリパーゼ測定が、次年度(H28)に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
主に妊婦血液中および臍帯血中のリポプロテインリパーゼ測定用のELISA検査試薬、アポ蛋白測定用検査試薬、脂質亜分画検査試薬の購入に使用する。
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