研究課題/領域番号 |
26461645
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
久田 研 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10420853)
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研究分担者 |
三澤 成毅 順天堂大学, 医学部, 特任研究員 (30465033)
近藤 成美 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (40205555)
堀 賢 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80348937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌 / 新生児 / 周産期 / 保菌率 |
研究実績の概要 |
抗菌薬に対する細菌の耐性化は、近年、病院内に留まらず、市中にも広がりを見せている。その結果、保菌リスクが低いと考えられていた一般健常人からも耐性菌が分離されるようになり、その分離頻度は増加傾向にある。病院環境菌のひとつであるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)はその代表的な耐性菌であり、入院歴がなく保菌リスクの少ないはずの健康小児を中心に市中でも蔓延していることが判明した。その結果、病原性の強い市中型MRSAが市中だけに留まらず、病院環境内に逆に流入し、市中での流行状況が医療環境に影響を及ぼすとともに、抗菌薬の初期治療選択も変更されるに至った。このような傾向は、MRSAに留まらない。多剤耐性菌のひとつである基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBL)も同様の傾向にあり、周産期領域においても大きな問題となってきている。そこで、周産期領域におけるESBLの前方視的な分子疫学的研究を実施した。H26~28年度に、前方視的に当該施設のNICUにおいて、入院時培養にESBL選択培地を用いESBL分離率を検討した。結果、H26年に1件、H27年に1件、H28年は2件のESBL産生E.coliが検出された。いずれも生直後の培養から分離されており、母体からの垂直伝播と考えられた。当院の成人の外来患者由来のESBLは10%から20%へと年々上昇傾向にあるのに対して、当該NICUでの分離率は1%未満と低い結果であった。そこで、H28年度からは、一般産科施設での疫学調査も開始し、倫理委員会の承認を得て、母体の便培養、新生児の一か月健診時の直腸スワブにより、ESBL産生菌の検出を試みている。現在、検体採取中である。この結果の解析により母体ESBL保菌率、新生児ESBL保菌率、垂直伝播率が明らかになる予定である。また、検出菌は遺伝子解析により分子疫学解析を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
方法論は確立し、倫理委員会の承認を得て、母子の糞便回収を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
検体採取の協力病院と密に連絡を取り検体採取に努める。また、研究分担者および大学院生と情報共有し解析を円滑に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
分離ESBL産生株が少なく、遺伝子解析費用が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
培地および遺伝子解析費用として使用される。
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