研究課題/領域番号 |
26461646
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
板橋 家頭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (00223074)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 強化母乳栄養 / 個別蛋白質強化 / 極低出生体重児 / 成長 |
研究実績の概要 |
Individualized HMFは、蛋白質の代謝を目安として血中尿素窒素(BUN)を指標にさらに添加する蛋白質を調整するadjustable fortificationと、母乳中の蛋白質を測定し目標摂取量に対してさらに不足する蛋白質量を添加するtargeted fortificationがある。平成26年度は、個別強化に用いるための蛋白質製剤が新生児に安全に使用できるかどうかについて、森永乳業の支援を受けて検討した。8種類の乳清蛋白製剤について成分分析及び細菌学的検討を行った結果、Peptigen IF-3090(Aria Foods)が最も細菌学的に安全性が高いことが明らかとなった。そこで、今後はこの製剤を使用することとした。平成27年3月25日に、昭和大学医学部医の倫理委員会にて本研究の申請が承認された。 平成27年度より対象患者のリクルートを開始した。32人の対象患者が入院し、17例が研究にエントリーした。そのうち、13例が研究終了した。個別強化により、研究終了時の体重SDは、研究開始時と比較して有意に増加した。 無作為抽出により、targeted fortification群が5例、adjustable fortification群が8例であった。Targeted fortification群とadjustable fortification群で患者背景の群間差は認めなかった。研究開始時から研究終了時の体重、身長、そして頭囲のSD変化に、両群間の差は認めなかった。ただし、両群とも症例数が少ないため、平成28年度は引き続き対象患者のリクルートを行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年7月よりNICU内でカルバペネム耐性菌(CRE)の保菌者が急増した。それに伴い、切迫早産の母体搬送や極低出生体重児の入院を制限する必要があり、対象患者数を確保することが困難となる可能性が高くなった。そのため、対象患者の範囲を超早産児(在胎28週未満)から、極低出生体重児まで拡大することとした。諸外国の先行研究では、極低出生体重児を対象にしており対象を拡大することに問題はない。研究対象拡大を昭和大学医学部医の倫理委員会に提出し、平成27年3月25日付で本研究が承認された。 平成27年度より、研究対象者のリクルートを開始した。32例の対象患者が入院し、適応基準を満たした17例が研究にエントリーした。そのうち転院の2例、人工乳栄養の1例、現在研究中の1例をのぞく13例が研究を終了している。 出生体重、在胎週数の中央値(25th ;75th )はそれぞれ、917g(779g;1150g)、27.0週(26.0週;31.1週)であった。出生体重、身長、頭囲SDの中央値(25th;75th)はそれぞれ、-0.9 (-1.8;0.1)、-0.8(-2.0;-0.2)、-0.1(-0.7;0.5)であった。個別強化開始時から研究終了時の体重、身長、頭囲のSD変化(ΔSD)の中央値(25th;75th)はそれぞれ、0.9(0.6;1.5)、0.3(-0.4;0.8)、0.6(0.2;1.0)であった。このうち、体重が有意な増加を示した(p<0.01)。 個別強化は、adjustable fortification群が5例、targeted fortification群が8例であった。患者背景および身体発育に群間差は認めなかった。ただし、両群とも数が少なく、平成28年度は引き続き患者のリクルートを行っていく予定である
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は入院制限を行っていた。しかし、対象患者の適応拡大に伴い、本研究計画で想定されていた対象患者数に合致する症例が入院した。現在CREの保菌者が1人となり、アウトブレイクは終息し、入院制限が解除されている。そのため、対象となる患者の入院数が増加すると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象となるリクルート基準を変更した倫理委員会の承認が下りるまで被験者リクルートができなかった為、実際の研究を進めることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の研究計画よりは広い範囲で被験者リクルートを行うことにより、対象患者を当初の予定通りにリクルートすることができれば、順当に使用することが可能である。
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