研究課題/領域番号 |
26461646
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
板橋 家頭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (00223074)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 極低出生体重児 / 強化母乳栄養 / 個別化強化 / 蛋白質添加 / 発育 |
研究実績の概要 |
目的:極低出生体重児を対象に個別化強化母乳栄養法をtargeted human milk fortification群(TF群)とadjustabale human milk fortification群(ADJ群)に無作為に振り分け両群の修正40週時点の体格を比較した。 対象と方法:TFは1週間毎の母乳分析値をもとに強化母乳から得られる蛋白質摂取量が4g/kg/dayとなるように乳清蛋白質を添加する方法で、ADJはBUNを1週間毎に測定し9mg/dLを下回る場合には強化母乳に乳清蛋白質を0.4~0.8g/dL添加する方法である。両群ともearly aggressive nutrition後に母乳強化添加物であるHMS-2による通常の強化母乳栄養を開始し授乳量が120ml/kg/dayに達した時点でTF群と群に振り分け修正37週まで個別強化栄養を行った。修正40週の体格は在胎期間別出生時体格値をもとに標準偏差(SD)で検討した。なお、本研究が導入される1年前の通常の母乳強化栄養で哺育された群を対照として個別強化栄養法群19例(ST群)とも比較検討した。 結果(中間解析):①TF群、ADJ群はそれぞれ13名で、両群の臨床的背景や個別化強化導入日齢に差はなかった。②検討期間中の両群の蛋白質摂取量はそれぞれ3.9g/kg/day、4.0g/kg/day、エネルギー摂取量はともに121kcal/kg/dayでほぼ推奨値に合致していた。③修正40週時点の体重、身長、頭囲のSD値は両群で差はなく、またともに明らかな発育遅滞はなかった。④個別化強化群ではSTD群に比べて身長SD値が有意に高かった。 結論:個別化強化母乳栄養法のTFとADJの発育与える効果に差はないが、ともに通常強化では遅れがちな身長の発育を抑制し正期産児レベルのfat free massを維持できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究を開始直後約1年間にわたり申請者のNICU内で耐性菌によるアウトブレイクが発生したため対象となる極低出生体重児の入院数を制限せざるを得ず、3年間で十分な対象数が確保できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究を開始直後約1年間にわたり申請者のNICU内で耐性菌によるアウトブレイクが発生したため対象となる極低出生体重児の入院数を制限せざるを得ず、3年間で十分な対象数が確保できなかった。その後研究を再開できたが、現時点では26名であり、今後の研究の遂行により40名程度目指したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
介入研究スタート直前に本来使用を予定していた添加蛋白質の細菌汚染および溶解度に問題が生じ、新しく添加する蛋白質の決定に時間がかかってしまった。併せて被験者登録募集を開始した2015年にNICU病棟にてカルバペネム耐性腸球菌のアウトブレイクが発生したため一年間の入院制限を余儀なくされたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の立案通りの研究遂行ができるように対象被験者の募集を引き続き継続して行う。
|