研究課題/領域番号 |
26461649
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
細野 茂春 日本大学, 医学部, 准教授 (50339339)
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研究分担者 |
渕上 達夫 日本大学, 医学部, 准教授 (60201753)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 早産児 / 胎盤血輸血 / 臍帯ミルキング / 臍帯遅延結紮 / 神経学的予後 / 輸血 |
研究実績の概要 |
臍帯遅延結紮による胎盤血輸血を行い生存率の改善と合併症の軽減、特に頭蓋内出血の発症低下が報告され神経学的後障害予防が期待されている。蘇生を必要とする児では充分な時間臍帯結紮を遅らせることができないため臍帯ミルキングが行われている。平成26年度ではランダム化比較試験に登録された212名について短期予後について解析した。実際に介入可能であったのはミルキング群77例、コントロール群77例であった。在胎週数および出生体重はミルキング群で26.0±1.1週、806±183g、コントロール群では26.1±1.2週、818±186gで、両群間で有意差は見られなかった。出生時のヘモグロビン値はミルキング15.3±2.1 g/dL、コントロール群14.1±1.9 g/dLで有意にミルキング群が高値であった(p<0.001)。入院中の輸血率はミルキング群で34%、コントロール群では55%でKaplan-Meier法による入院期間中の輸血率はミルキングで有意に低く輸血回数もミルキング群1.1±1.6回、コントロール群1.8±2.1回で有意にミルキング群で輸血回数の削減が図られた(p=0.02)。死亡はミルキング1例(1%)、コントロール群7例(9%)で有意にミルキング群で死亡率が低かった(P=0.03)。全ての重症度での頭蓋内出血の頻度はミルキング群12例(16%),コントロール群15例(19%)で有意差は見られなかった(p=0.52)がIII度以上重症頭蓋内出血の頻度はミルキング群0例(0%)、コントロール群4例(5%)で有意にコントロール群で高かった(p=0.04)。短期予後では臍帯ミルキング群はコントロール群と比較して有意に出生時のヘモグロビン値は高く、生存率および神経学的後障害に関与する重症頭蓋内出血の頻度の減少が見られ長期予後改善に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究は前方視的ランダム化比較試験で中間解析基準に達したため中央モニタリング委員会委員会で主要評価項目の解析を行った。2群間で有意差を認めたため新規登録の終了は勧告されたため神経学的後障害以外の副次評価の解析を行った。平成27年4月26日にサンディエゴで開かれる米国小児科学会で発表する事が決まっており現在、英文論文化に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
今回、国際学会で発表した主要評価項目と解析可能であった副次評価項目の論文化を行う。また国内学会でも発表を行い平行して英文での論文化を行い国際誌に投稿し掲載を目指す。 今年度は試験対象者がすべて修正1歳6か月を通過するので1歳6か月の予後調査を郵送で依頼する。集計・解析を平成27年度に行い国際学会で発表し論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会発表のための旅費と参加費を計上していたが研究の進捗状況が若干遅れたため発表内容に適した学会の抄録締め切りに間に合わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年4月25日から28日に行われるPediatric Academic Societies Annual Meeting2015(SanDiego)での発表が決まっているのでそこで執行する予定である。また12月に行われるHot Topics In Neonatology(ワシントンDC)において発表予定である。今年度は1歳6か月での予後調査を行うため調査用紙の印刷と発送および回収のために郵送費、および論文投稿費用のために予算を執行する予定である。物品費440,000円、旅費900,000円、その他600,000円を概算で計上する。
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