研究課題/領域番号 |
26461650
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
林 英之 福岡大学, 医学部, 教授 (30173024)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 抗VEGF抗体 / 未熟児網膜症 / 光凝固 / 硝子体手術 / 低出生未熟児 |
研究実績の概要 |
平成26年度と同様に、平成27年度においてもInformed Concentを行い、同意が得られたAP-ROPおよび関連状態のROP例を15例として対象症例とする計画に基づき、平成27年度ではルセンティス投与対象となる18例36眼のデータを登録することができた。 対象症例に対してはラニビズマブ硝子体注射(IVR)を18例36眼に行った。平均在胎週数は24.4週,出生時体重は637g, 男女比は10:8だった。網膜症は APROPが6眼、Zone I ROPが13眼だった。平均治療時期は修正在胎33週だった。治療後全例でROPは沈静化したが、全例で再燃がみられた。境界線の再燃時期は、 6.0±1.2週(p<0.01)で、再燃後に8例16眼(44%)に追加治療を要した。追加治療時期は、初回治療後8.2±1.8週だった。最終的にStage 4以上に進行した例はなかったが、2眼(5.6%)に牽引乳頭,黄斑偏位を認めた。全例眼合併症はなかった。慢性肺疾患,脳性麻痺がそれぞれ4例,2例に見られた。データ解析の結果、IVRはROPに対して安全かつ有効な治療となりうると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ルセンティス投与対象計画予定例を15例としていたが、18例のデータを登録することができ、また症例の健康状態に応じてルセンティス投与・光凝固と適切な処置ができている。 データ解析の結果、IVRはROPに対して安全かつ有効な治療となりうると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度、平成27年度までに福岡大学病院周産期母子医療センターならびに関連施設でAP-ROPおよび関連状態の光凝固難治例と診断された症例に対して新たなROPデータとして登録し対象とした。また既にルセンティス・光凝固の処置を行っている既存の症例に対しては、追視・固視・眼位を確認・計測し視力の発達について観察し、データを保存した。 平成28年度では、成長を追いつつ視力、屈折、網膜電気生理学的反応、視野を確認しながら、眼晩期合併症を検索する。また前進発達・発育についても観察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度,平成27年度ともに当初計画以上のデータを登録することができ、今後は合併症等に注意しながら、研究成果を報告し、有効性,安全性の確立を目標とするために、データ解析を重点的に行うことを目標とするため次年度の使用額が生じることとなる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度では、成長を追いつつ視力、屈折、網膜電気生理学的反応、視野を確認しながら、眼晩期合併症を検索する。また前進発達・発育についても観察していく。
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