研究課題
これまで我が国の主要な流早産起因細菌であるマイコプラズマ科ウレアプラズマ細菌による早産の疫学、病態を解明してきた。その成果として、ウレアプラズマ外膜リポタンパク質MBA及びそのリポペプチドUPM-1(TLR-2リガンド)は、マウス子宮内において過剰な免疫反応を惹起し、マウスにおける流早産の病原因子であることを証明した(J Reprod Immunol, 2013)。本研究にて、UPM-1による流早産モデルを用いて、抗酸化、抗炎症作用を有する水酸化フラーレンの抑制効果について検証した。その結果、水酸化フラーレンはUPM-1による免疫反応をin vitro、in vivoで抑制しマウスにおいて流早産を抑制する効果があることが示された(Am J Obstet Genecol, 2015)。多くの細菌はTLR-4依存的な免疫反応を惹起することが知られている。LPSはTLR-4リガンドの代表的な分子である。そこで、今回は、LPS誘導性の早産モデルマウスを作成し、そのマウスに対して生体が有するレドックス制御系分子であるチオレドキシン1タンパク質を作用させマウス早産の予防的な効果があるか、治療効果が得られるか検討した。まず、母獣にLPSを単独投与すると16匹中15匹が早産した(94%)。一方で、LPSとOVA(オボアルブミン)を投与した場合は9匹中8匹(89%)が早産した。一方、LPSとチオレドキシンを投与した場合は10匹中4匹のみが早産し(40%)、早産率は低下した。次にLPS投与後にチオレドキシンを投与する治療プロトコールの早産率を検討した。こちらでは、LPS投与群は68%の早産率(25匹中22匹)であったのに対して、チオレドキシンによる治療群では早産率は41%(34匹中14匹)と早産を抑制した(Ped Res, 2016)。
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