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2015 年度 実施状況報告書

炎症性皮膚疾患ケラチノサイトにおけるエピゲノミクス異常の動的変化の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26461657
研究機関名古屋大学

研究代表者

小川 靖  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10567754)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード皮膚科学 / 乾癬 / エピジェネティクス
研究実績の概要

研究は、病変の誘導が可能な、炎症性皮膚疾患のモデルマウスを用いて、皮膚病変の形成に置けるヒストン修飾を解析する事で、病態形成に置けるエピジェネティクス異常の役割を検証し、新たなdruggableな分子標的を見いだす事を目的としている。
H27年度になり、昨年度に確立したイミキモドによる乾癬類似病変を誘発するモデルマウスを用いて、各種化合物の効果の検討をパイロット的に行った。ヒストン修飾に影響を与えうる多数の化合物を入手し、乾癬モデルマウスに投与して、その影響を見たところ、明らかな変化を及ぼす化合物を認めた。2つの化合物で、イミキモド存在下に置いて、皮疹の範囲、落屑程度が増悪する傾向を認めた為、研究計画を修正し、この実験系の確立と解析を行う事とした。
これらの化合物をイミキモドと併せて、BALB/cマウスに投与する事により、第6日から第8日にかけて落屑形成の範囲および程度が悪化する所見が得られた。この為、ヒトの尋常性乾癬のPASIスコアに準じた客観的なスコアリングシステムを作成し、皮疹の重症度を計測した。候補となる薬剤は2剤あったが、このうちの1剤について、実験条件を整備する事により、実験第8日には有為差を持って落屑の重症度が増悪する事が確かめられた。全体的なスコアでも皮疹が増悪する傾向をみとめたが、有為差は認めず、この薬剤は主に表皮ケラチノサイトの増殖と分化異常に影響する事が考えられた。第8日にモデルマウスの表皮を採取し、組織像と乾癬関連遺伝子の発現を検討した。イミキモド単独群と比べ、この薬剤の併用時には、CCL20とKRT16のmRNAの発現が上昇する傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスの乾癬モデルについて、複数の薬剤投与による表現型の検討を行い、予想外に顕著な変化をもたらす化合物を発見した為、実験計画を修正して、このモデルの解析を優先した。
定量化して客観的に症状の変化を証明する事に困難が生じたが、条件を検討し、最終的に表現型に影響を与える化合物を同定できた。実験計画に生じたこの修正に伴い、予定していた免疫沈降法による実験は、この実験系を確立した後に行う事とした。

今後の研究の推進方策

本年度の発見した化合物にヒストン修飾作用が有る為、類似の作用をもつ他の化合物において、同様の効果が再現する事を確認する。この化合物が乾癬モデル病態に置いて、作用をおよぼす時期をさらに詳細に検討しする。この時点でのヒストン免疫沈降アッセイを行い、実際のヒストン修飾に対する影響を確認する。

次年度使用額が生じた理由

研究の過程で、ある化合物を乾癬モデル病態に投与したところ、予想外に病態に変化をもたらした。このため、昨年度はこの現象の解析を優先しておこなった。この化合物による病態への修飾モデルの検討を、マウスの個体レベルで適切に行い、その系を含めて以降の分子レベルでの解析を行う事とした。この研究方針の修正に伴い、免疫沈降法等の実験を行う時期が延期され、予定されていた抗体やキット等の試薬を購入しなかった。このため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本年度の研究で、乾癬モデル病態に影響を及ぼす事をみとめた化合物の類縁化合物、類似のエピジェネティックな作用を持つ化合物、に対象を拡大して検討を加える予定である。対照マウス、乾癬モデル病態のマウス、化合物を投与したモデルマウスの間で、実際にヒストン修飾の変化が起きているか、その場合、どのような遺伝子の発現を制御しているかを検討する。その結果を実際のモデルマウスにおける乾癬関連遺伝子の発現および症状、組織所見と併せて検討し、病態形成に置ける意義を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Identification of an Palindromic Motif in the Upstream Region of ABCA12 required for Promoter Activity in Cultured Human Keratinocytes2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Shimizu, Yasushi Ogawa (presenter), Kazumitsu Sugiura, Jun-ichi Takeda, Kaori Sakai-Sawada, Teruki Yanagi, Atsushi Kon, Daisuke Sawamura, Hiroshi Shimizu, Masashi Akiyama
    • 学会等名
      日本研究皮膚科学会第40回年次学術大会・総会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター(岡山県岡山市)
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-13
  • [学会発表] Revertant Mutation Releases Confined Lethal Mutation, Opening Pandora’s Box: A Novel Genetic Pathogenesis2015

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Ogawa, Takuya Takeichi, Michihiro Kono, Nobuyuki Hamajima, Toshimichi Yamamoto, Kazumitsu Sugiura and Masashi Akiyama
    • 学会等名
      日本研究皮膚科学会第40回年次学術大会・総会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター(岡山県岡山市)
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-13
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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