表皮のバリア形成に重要な因子のひとつとしてセリンプロテアーゼ活性があり、その活性を制御するのは表皮角化細胞が産生するセリンプロテアーゼ阻害因子である。我々はセリンプロテアーゼ阻害因子の発現を誘導する機構について培養ヒト表皮角化細胞を用いて,転写レベル,蛋白レベルで,それぞれリアルタイムPCR (Applied Biosystems社),ELISA Uscn Life Science Inc.社) を用いて解析した。 これまでの研究で我々は炎症性サイトカインTNF-alphaがserine protease inhibitor Kazal-type (SPINK)5、secretory leukocyte peptidase inhibitor(SLPI)、エラフィンの発現を優位に増強することを見出した。今回我々はTNF-alphaに加えてTh17サイトカインであるIL-17Aがこれらのセリンプロテアーゼ阻害因子の発現を誘導することを見出した。これらの誘導はいずれも濃度依存性および時間依存性であり,転写レベルでも蛋白レベルでも確認された。 加えて自然免疫において重要な役割を果たすToll様受容体(TLR)を介したシグナルがSPINK5以外のセリンプロテアーゼ阻害因子の発現に与える影響を検討したところ、TLR3リガンドpoly(I:C)、TLR5リガンドflagellin、TLR2/6リガンドMALP-2によって有意にSLPIとエラフィンの発現が増強された。 さらに我々は高濃度カルシウムによってもこれらのセリンプロテアーゼ阻害因子の発現が濃度依存性および時間依存性に増強することを見出した。
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