研究課題
落葉状天疱瘡は、尋常性天疱瘡と類似の疾患であるが、臨床的に異なる特徴を持つ。落葉状天疱瘡はデスモグレイン(Dsg)1抗体によって発症し尋常性天疱瘡はDsg3抗体によって発症する。尋常性天疱瘡では、抗Dsg3抗体はDsg3の立体構造が病因性エピトープとして重要で、EDTA処理ELISA法で立体構造抗体(病因性高い)と非立体性抗体(病因性低い)が区別できることを明らかにした。今年度はDsg1抗体の抗体の病因性に関連するエピトープを検討した。Dsg1をEDTA処理とExfoliative toxinにより立体構造を破壊することによって、エピトープを区別する方法を確立した。それにより、活動期と非活動期の患者血清より得たIgGを検討した。落葉状天疱瘡患者IgGは活動期でも非活動期でも、立体構造抗体を認識する割合いがたかく、尋常性天疱瘡におけるDsg3抗体と異なり、落葉状天疱瘡では病因性エピトープと非病因性エピトープはどちらも立体構造の中に存在することを明らかにした。さらに、立体構造の中でDsg1EC1から5ドメインを免疫沈降法を用いてより詳細なエピトープマッピングを試みたが、予想に反して立体構造の中でエピトープのシフトがみられず、EDTA-ELISA法と免疫沈降法では解離がみられた。落葉状天疱瘡におけるDsg1抗体の病因性抗体は、EDTA Dsg1ELISA法では検討できないことがわかった。尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡の病因性シグナルは異なることが推測された。
2: おおむね順調に進展している
天疱瘡における病態解析にはDsg3抗体経路と、Dsg1経路は別々に存在することが明らかになった。今後は、Dsg3抗体経路を中心に解析することになる。
H26年のプロテオミクス解析で得た、Dsg3抗体による病因性シグナル経路をさらに検討することにする。
培養細胞を使用する実験の予定を延期し、2016年度に検討することにしたため、予算を繰り越した。
培養細胞を購入予定
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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