研究課題
常染色体劣性皮膚弛緩症1B型は細胞外マトリックスタンパク質であるfibulin-4の変異に起因し、動脈瘤・肺気腫等、弾性線維に富む組織での異常も認められる。これまでに動脈瘤・皮膚弛緩症を主訴とする患者においてfibulin-4の変異が10例ほど報告されている。本研究はこれらの変異を導入したfibulin-4をリコンビナントタンパク質として発現・精製し、変異による生化学的性状ならびに機能への影響を解析し、病態の発現機序の解明を目的とする。これまで、種々の変異fibulin-4を精製し、それらのプロテアーゼに対する感受性の変化、また、fibulin-4と結合するとされているタンパク質、エラスチン、fibrillin-1, lysyl oxidase等への親和性の変化、さらに、分泌ならびに細胞外マトリックスへの取り込みの変化について解析してきた。その結果、変異によりプロテアーゼに対する感受性の亢進、さらに、親和性の低下が観察され、それらの一部は変異残基に特異的なものであった。さらに、今年はドイツ・エアランゲン大学のLanig教授と分子力学シミュレーション法を用い、変異fibulin-4タンパク質の解析も始めた。
2: おおむね順調に進展している
研究の主題は研究計画どおりに進行しているが、皮膚弛緩症患者の皮膚についての解析は患者が見つからないためにまだ進行していない。
皮膚弛緩症患者は日本ではほぼ報告例がないので、fibulin-4欠損マウスの皮膚の解析を始めた。
遅延している研究を遂行するため、次年度まで研究費を繰り越した。
研究遂行に必要な抗体等の購入に使う予定である。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Matrix Biology
巻: 56 ページ: 132-149
10.1016/j.matbio.2016.06.003