研究実績の概要 |
本研究では、平成26年度に、重症モモアレルギーの新規アレルゲンである Pru p 7(アレルゲン名:モモピマクレイン、タンパク名:Gibberellin-regulated protein)をクロマトグラフィーにより精製を行い、N末端アミノ酸配列解析、及びMALDI-TOFmass spectrometry による質量分析を行った。 平成27年度には、Pru p 7に対するアレルギー検査として、Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)による特異的IgE抗体測定法を確立した。 平成28年度には、ELISAによるnPru p 7に対する特異的IgE抗体測定を応用した研究として、果物アレルギーにおけるPru p 7アレルギーの頻度やその特徴を明らかにした。果物アレルギー100例のうち 13例(13%)にPru p 7アレルギーがあることが判明した。Pru p 7アレルギーの原因食品はモモ(92.3%),梅(61.5%), が多くみられた。10/13例は 原因果物が多種に及んだ頻度の高い症状は顔面の浮腫、喉頭絞扼感であり重症例が多かった。H29年度は、native Pru p 7を抗原とした好塩基球活性化試験(CD203c活性化)を確立し、ELISA法との比較検討を行った。モモアレルギー12例を対象に実施した。好塩基球活性化試験では、12例中6例でnative Pru p 7に対するCD203c活性の上昇が確認された。その6例中5例は、native Pru p 7に対する特異的IgE抗体測定も陽性であった。一方、好塩基球活性化試験が陰性となった6例全例で、native Pru p 7特異的IgE抗体が陰性であった。陽性率は、好塩基球活性化試験で41.7%、特異的IgE抗体測定で50%と好塩基球活性化試験の方が低かった。陰性率は、好塩基球活性化試験で58.3%、特異的IgE抗体測定で50%であった。2つの検査系の陽性一致率は83.3%、陰性一致率は100%であった。以上より、両測定系の結果には高い相関がみられる可能性があり、今後症例を蓄積しその相関性をさらに検討することが必要と考えた。
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