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2016 年度 実施状況報告書

表皮のホメオスタシス維持機構とその破綻ー角化細胞分化におけるMCL1の機能解析ー

研究課題

研究課題/領域番号 26461669
研究機関川崎医科大学

研究代表者

牧野 英一  川崎医科大学, 医学部, 講師 (90314674)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードMCL1 / 表皮角化細胞 / 分化 / ホメオスタシス / アポトーシス
研究実績の概要

我々は、MCL1による表皮角化細胞の分化制御のメカニズムを解明すルために、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスとK14-CreERT2:MCL1 flox/floxマウスを作製した。
K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスでは組織特異的プロモーターとして表皮基底細胞に強く発現しているケラチン5(K5) を利用してCreリコンビナーゼを誘導し、その結果としてMCL1のfloxアレルが欠損する。K5は表皮基底細胞以外に食道にも発現しており、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスでは表皮角化細胞や食道の扁平上皮細胞に置けるMCL1欠失の影響を解析することができる。同腹子であるK5-Cre:MCL1 flox/floxマウスとWild-typeマウスの食道を病理組織学的に検討したところ、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスの食道では角化が著明に亢進し、内腔は角質物質で充満していた。皮膚の病理組織像でも同様に、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスでは著明な角化亢進が認められた。表皮は全体的に肥厚し、顆粒そうの肥厚も目立っていたが、興味深いことにアポトーシスに陥った細胞は光顕上明らかではなかった。以上の所見からMCL1の欠失により表皮角化細胞の最終分化過程と表皮ホメオスタシスの維持機構に異常を来すことが推測された。
K14-CreERT2:MCL1 flox/floxマウスでは表皮基底細胞に強く発現しているケラチン14(K14) を利用してタモキシフェン誘導性Cre-ERT2組み換え酵素を用いることで、タモキシフェン外用によって自在にCreリコンビナーゼを誘導することができ、その結果としてMCL1のfloxアレルが欠損する。K14-CreERT2:MCL1 flox/floxマウスの背部皮膚にタモキシフェンを外用し表皮角化細胞におけるMCL1欠失の影響を調べたところ、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスと同様に、対照のマウスと比較して皮膚では著明な角化亢進と表皮肥厚が認められたが、明らかなアポトーシスの所見は得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2014年度に異動になり、新しい職場で実験環境を整えるのに時間がかかった。また2016年12月には新病院への引越しがあり、再び実験環境を整えるために時間がかかった。また、勤務体制も変わり、当初予定したよりも実験に充てる時間が取れなくなったため。

今後の研究の推進方策

今まで得られた研究結果より、MCL1が表皮細胞の分化制御に深く関与していることが想定された。表皮角化細胞の増殖につき検討するために、Ki67、phosphohistone H3などの増殖マーカーを、分化についてはLoricrin、Filaggrin、Caspase-14、Involuvrin、K1、K10などの分化マーカーを用いて免疫染色法とウェスタンブロットにてそれら分子の表皮内における発現を検討する。
分子レベルで解析するために、K5-Cre:MCL1 flox/floxマウスとWild-typeマウスの表皮を採取し、マイクロアレイ解析を行う。両者における複数の遺伝子発現パターンを比較することで、MCL1が表皮内でその役割を果たすために必要な遺伝子群の同定に繋がることが期待される。

次年度使用額が生じた理由

異動と病院の引越しがあり、新しい実験環境を整えるのに時間がかかったため、当初の実験計画に1年近い遅れが生じた。

次年度使用額の使用計画

翌年度分の助成金と合わせて使用する。具体的には、マイクロアレイ解析や各種抗体を用いた免疫染色、培養細胞株を用いた生化学実験(対象とする遺伝子の発現をリアルタイムPCRにて検討する)、などの試薬購入に用いる予定である。

備考

表皮のホメオスタシス維持機構と有棘細胞癌の発生におけるYAP/MCL1の機能解析
http://kms-igakkai.com/wp/wp-content/uploads/book/book40-1/index.html#page=29

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公開日: 2018-01-16  

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