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2014 年度 実施状況報告書

脂質メタボロームによる新規皮膚疾患バイオマーカーの同定と医療に向けての基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 26461671
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

山本 圭  公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (30304504)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードホスホリパーゼA2 / 脂質代謝 / 乾癬 / 質量分析 / モデルマウス
研究実績の概要

乾癬や皮膚癌などの皮膚疾患は、表皮バリア機能低下および免疫系異常を伴い脂質代謝の破綻と密接に関連していることが予想されるが、これらの皮膚疾患における脂質ネットワークの役割については充分に理解されていない。申請者は脂質メディエーターの初発酵素の一つである分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)分子群に注目し、この酵素の生理的な意義について研究をおこなっている。本研究ではsPLA2群遺伝子改変マウスをツールに脂質メタボローム解析を展開することで、皮膚疾患に関わる新規脂質メディエーターを探索し、その機能を解明することを目的とする。
本年度は表皮角化細胞(ケラチノサイト)の分化に伴い発現誘導されるIIF型sPLA2がPlasmalogen型リゾホスファチジルエタノールアミン(P-LPE)を供給すること、乾癬・接触性皮膚炎・皮膚癌の表皮肥厚性皮膚疾患でP-LPEが産生されること、IIF型sPLA2 KOマウスに乾癬を惹起させると乾癬が軽減するとともにP-LPE産生が低下すること、IIF型sPLA2 KOマウスの皮膚にp-LPEを塗布して欠損により減弱した表現型の回復することを明らかにした。さらに乾癬誘導性のIL-22によるケラチノサイトを用いたin vitroの系においてもP-LPEがケラチノサイトの活性化に寄与することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

P-LPEの作用点の探索については若干遅れているが、概ね研究計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

P-LPEは特異的な受容体を持つ可能性が示唆されたことから、前年度に引き続きP-LPEの作用点について詳細を調べていく。また、脂質メタボローム解析によるバイオマーカーの探索についても引き続き進めていく。さらにP-LPEが創薬の標的としての可能性を見据え、ヒト炎症性皮膚疾患における検討をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

予備的な検討からP-LPEをリガンドとする作用点は、1)高親和性受容体、2)低親和性受容体、3)核内受容体を介することが示唆された。受容体を絞り込むためにはさらに培養細胞を用いた予備検討が必要なため使用額の変更が生じた。

次年度使用額の使用計画

1)次年度は、P-LPEをリガンドとする作用点を、上記3点を見据えてシグナル伝達や細胞機能を中心に路初代培養系を用いた実験系を通して絞り込んでいく。ある程度、候補となる分子を絞り込むことができれば高感度GPCRスクリーニング法、リン酸化タンパクプロテオミクスなどを用いてGタンパク質共役型受容体の同定を試みる。
2)初年度に計画した脂質メタボローム解析によるバイオマーカーの探索を引き続き進めると共に、27年度に計画した、各sPLA2サブタイプの活性を中和する抗体、活性を阻害する低分子化合物、P-LPEの特異的抗体が炎症性疾患による病態に対し回復効果を示すかsPLA2遺伝子改変マウスを用いて検討をすすめていく。

備考

http://www.igakuken.or.jp/lipid/

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The adipocyte-inducible secreted phospholipases PLA2G5 and PLA2G2E play distinct roles in obesity.2014

    • 著者名/発表者名
      Sato, H., Taketomi, Y., Ushida, A., Isogai, Y., Kojima, T., Hirabayashi, T., Miki, Y., Yamamoto, K., Nishito, Y., Kobayashi, T., Ikeda, K., Taguchi, R., Hara, S., Ida, S., Miyamoto, Y., Watanabe, M., Baba, H., Miyata, K., Oike, Y., Gelb, M.H., and *Murakami, M.
    • 雑誌名

      Cell Metab.

      巻: 20 ページ: 119-132

    • DOI

      10.1016/j.cmet.2014.05.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Emerging roles of secreted phospholipase A2 enzymes: the 3rd edition.2014

    • 著者名/発表者名
      Murakami, M., Taketomi, Y., Miki, Y., Sato, H., Yamamoto, K., and Lambeau, G.
    • 雑誌名

      Biochimie.

      巻: 107 ページ: 105-113

    • DOI

      10.1016/j.biochi.2014.09.003.

    • 査読あり
  • [学会発表] A unique lipid pathway driven by group IIF sPLA2 undelies epidermal-hyperplasic disorders2015

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, K., Miki, Y., Taketomi, Y., Kambe, N., Kabashima, K., Lambeau, G., Gelb, M., Murakami, M.
    • 学会等名
      The 6th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators (PLM2015)
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都新宿区)
    • 年月日
      2015-02-10 – 2015-02-13
  • [学会発表] Group IIF sPLA2 promotes skin carcinogenesis2015

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, K., Miki, Y., Sato, M., Murakami, M.
    • 学会等名
      The 6th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators (PLM2015)
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都新宿区)
    • 年月日
      2015-02-10 – 2015-02-13
  • [学会発表] 新規リゾフォスファチジルエタノールアミンは表皮PLA2依存的な表皮肥厚性疾患のバイオマーカーである.2014

    • 著者名/発表者名
      山本圭
    • 学会等名
      Conference for BioSignal and Medicine (CBSM) 2
    • 発表場所
      ラフォーレ修善寺(静岡県伊豆市)
    • 年月日
      2014-11-22 – 2014-11-23
    • 招待講演
  • [学会発表] アルケニル型リゾホスファチジルエタノールアミンはIIF型分泌性ホスホリパーゼA2依存的な表皮肥厚疾患のバイオマーカーである.2014

    • 著者名/発表者名
      山本圭、三木寿美、村上誠.
    • 学会等名
      第87回日本生化学会.
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] Secreted phospholipase PLA2G2F regulates epidermal homeostasis and hyperplasic disorders by mobilizing unique lipid products.2014

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, K., Miki, Y., Taketomi, Y., and Murakami, M.
    • 学会等名
      2014 Yonsei-Igakuken Joint Symposium.
    • 発表場所
      ソウル(大韓民国)
    • 年月日
      2014-06-19 – 2014-06-22
  • [備考]

    • URL

      http://www.igakuken.or.jp/lipid/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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