本研究では皮膚疾患に対象を絞り広範な脂質メタボローム解析を展開し、新規バイオマーカーの創成を目指した。その結果、表皮特異的に発現するsPLA2-IIFは、乾癬、接触性皮膚炎、皮膚癌といった表皮肥厚性疾患で高く発現していること、この酵素産物であるリゾプラズマローゲンは表皮の過増殖や活性化を促進し、乾癬や皮膚癌の増悪に関わる新しい生理活性脂質であることを明らかにした。さらに毛包に発現しているsPLA2-IIEが毛包形成に寄与すること、リンパ組織の樹状細胞に発現しているsPLA2-IIDは接触性皮膚炎や乾癬は炎症状態を改善する一方で抗腫瘍免疫を抑制して皮膚癌を促進する作用を持つことを明らかにした。
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