研究課題
当該年度は、表皮形態維持におけるBNIP3の役割を明らかとすることを目的とし、以下の研究を行った。昨年度までに、表皮ケラチノサイトへUVB照射することで、酸化ストレスを介したBNIP3の発現制御が起こること、またHIF1α、p53はBNIP3の発現を制御しないことを明らかとしてきた。さらに、酸化ストレスによって活性化したERK1/2, JNK MAPキナーゼ経路がBNIP3の発現を誘導することを見出してきた。今年度は新たに、UVB照射によって発現上昇したBNIP3がUVB照射により傷ついたミトコンドリアをオートファジーにより除去することで、細胞をアポトーシスから保護することを明らかとした。BNIP3をノックダウンすると、オートファゴソームの形成が抑制されることを、LC3の免疫染色により明らかとした。また、ミトコンドリアに特異的に発現するpH依存性蛍光タンパク質であるKeimaとBNIP3のノックダウンコンストラクトを導入することにより、BNIP3の発現抑制でマイトファジーが抑制されることを見出した。さらに、BNIP3をノックダウンすると、ミトコンドリアの膜電位が低下し、ミトコンドリア特異的ROSの蓄積が見られたことから、BNIP3は障害を受けたミトコンドリアの除去に必須であることが示唆された。また、オートファジー阻害剤添加により、表皮細胞のUVB感受性が上昇したことから、オートファジー(マイトファジー)が表皮細胞の抗アポトーシス効果に重要であることが判明した。以上の結果は学術論文としてまとめ、掲載された(Moriyama et. al. Cell Death Dis. 2007)。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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