研究課題/領域番号 |
26461678
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水芦 政人 東北大学, 大学病院, 助教 (20400369)
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研究分担者 |
伊藤 由美子 東北大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00375057)
相場 節也 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80159269)
木村 裕 東北大学, 大学病院, 助教 (90375056)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HO-1 / ferroportin |
研究実績の概要 |
我々はこれまでにhemooxygenase-1 (HO-1)が表皮細胞の最終分化に伴い発現することを見いだし、初年度は表皮特異的HO-1ノックアウト(KO)マウスを作成してその役割を解析した。アレルギー接触皮膚炎モデルにおいては野生型と比較して明らかな差は認められなかった一方で、表皮特異的HO-1KOマウスでは定常状態において皮膚炎を発症するだけでなく、個体体重もコントールである野生型と比して減少することを見出している。このことは皮膚においてHO-1が欠損することにより、DNAの酸化や脂質の過酸化が亢進することで皮膚炎が惹起され、さらには全身状態まで影響を及ぼすことを示唆している。加えて本研究では、ヒト生体内で唯一知られている鉄輸送膜タンパクであるferroportinがHO-1と同様に表皮細胞の分化に伴い発現が誘導されることを見いだした。この観察は、ヘムに取り込まれた鉄がHO-1によりヘムから取り出され、それがferroportinにより細胞外に放出されることを示唆している。Ferroportinに関しては表皮における機能の解析はこれまで行われてこなかったため、我々は表皮特異的ferroportin KOマウスを作成することに成功し、表皮における鉄代謝制御の解明にあたった。表皮においてferroportinが欠失するとマウスの貧血が徐々に進行することが判明した。これまでに鉄代謝に関連する重要臓器としては骨髄、腸管、肝臓、脾臓などが挙げられるが、今回我々の解析した結果からは皮膚も鉄代謝に重要な臓器として挙げられることが分かった。この結果は現在論文投稿中である。鉄代謝は細胞内おけるDNAの酸化や脂質の過酸化に密接に関連しているため、今後HO-1とFerroportinという2つの分子が表皮においてどのように協調して機能を果たしているのかについてさらに検証していく予定である。
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