研究課題/領域番号 |
26461680
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
竹原 和彦 金沢大学, 医学系, 教授 (50142253)
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研究分担者 |
松下 貴史 金沢大学, 大学病院, 講師 (60432126)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 全身性強皮症 / B細胞 / 線維化 |
研究実績の概要 |
近年、ヒトの全身性強皮症のマウスモデルとしてマイナー組織適合抗原不一致-骨髄移植によるScl-cGVHDマウスが使われるようになっ てきた。ドナーT細胞がホストのマイナー組織適合抗原に反応することによりGVHDが起こり、組織への細胞浸潤、TGF-βの過剰産生が 認められ、移植後2週頃より皮膚や肺の線維化がみられる。またこのモデルではB細胞や樹状細胞、マクロファージなどの抗原提示細胞 はT細胞の活性化において非常に重要な役割を果たしている。以上より、マイナー組織適合抗原不一致-骨髄移植モデルはScl-cGVHDな らびに全身性強皮症の非常に良いモデルマウスと考えられている。Syk (Spleen tyrosine kinase) は、血液・免疫系の組織に発現す る非受容体型チロシンキナーゼでB 細胞の分化に重要な役割を担っている。B細胞におけるSykによるシグナル伝達は、抗体産生細胞へ の分化・増殖までを含む幅広いB細胞応答を制御するための重要な調節点である。近年、Sykを特異的に阻害する経口薬剤(Fostamati nib:R788)が開発され、自己免疫性疾患に対する有効性が期待されている。 平成26年度はまず、皮膚硬化型慢性GVHDモデルマウスでSykが活性化されているかを、抗リン酸化Syk抗体を用いてFACSにて解析した。結果はGVHDマウスのT細胞、B細胞、マクロファージにおいて、Sykのリン酸化が亢進していた。さらにSyk阻害剤の有効性を調べるた めに皮膚硬化型慢性GVHD モデルマウスに、移植14日後よりSyk阻害剤を投与した。SYK阻害剤投与群ではコントロール群と比べ有意に スキンスコアの改善が見られた。また、線維化をマッソントリクローム染色で評価したところ、皮膚および肺の線維化もSyk阻害剤投 与群において有意に改善した。本年度はさらに、人でのSykの発現を検討した。強皮症患者皮膚および健常人皮膚でSykのリン酸化を免疫組織で検討したが、強皮症、健常人とも皮膚組織においてリン酸化の亢進は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの繁殖が当初の予定通り進まなかったため実験計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度はScl-cGVHDマウスにおけるSyk阻害剤の抑制機序の解明を行う予定である。 さらに、強皮症患者末梢血におけるSykの発現亢進の有無につき検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はマウスの繁殖が予定通り進まなかったため実験計画に遅れが生じた。さらに、ヒトにおけるSykリン酸化解析の予備実験に時間を要したため使用額が予定以下となった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、マウスの繁殖は予定通り進み、Sykリン酸化解析の予備実験も順調に進んでいるので次年度に実験を多く行う予定である。
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