研究課題/領域番号 |
26461687
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
芦田 敦子 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00596786)
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研究分担者 |
宇原 久 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (40201355)
奥山 隆平 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80292332)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ctDNA / メラノーマ / BRAF / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
血液循環腫瘍細胞(ctDNA: circulating tumor DNA)は、リアルタイムに体内の病勢を反映できる新たなバイオマーカーとして期待されている。本研究では、メラノーマ患者の血液中のcfDNA(cell free DNA)やBRAFV600E-ctDNAを解析し、癌治療に臨床応用できることを目指す。すでに様々な癌腫についてctDNAに関する研究は報告されているが、血液検体からのDNA抽出方法やその定量法はまちまちで標準化されていない。まず健常人(5人)の血清と血漿を用いて最適条件を決定した。 1.検体の処理とDNA抽出方法:QIAamp Circulating Nucleic Acid kit (Qiagen)を用いて血液検体1、2、3、5mlよりそれぞれ30、50、100mlのバッファーで抽出した。 2.抽出したDNAの定量:分光光度計(Eppendorf)と蛍光色素計(Promega)を用いて定量した。(1)血清の方が血漿より抽出できるDNA量は多かった。血清では処理前に壊れた血球由来のDNAが含まれることが考えられた。(2)分光光度計で測定したDNA量は、蛍光色素計での測定値より10から100倍高かった。分光光度計による測定では、dsDNA以外にRNAやssDNAも計測してしまうため値が高くなってしまうことが考えられた。(3)抽出に用いた検体量とDNA濃度は比例しなかった。同様に抽出バッファー量とDNA濃度も比例しなかった。カラムにDNAが残存するなど抽出過程でロスがおこると考えられた。以上より、血液検体2mlから60μLのバッファーで抽出し、蛍光色素計でDNAを定量すると決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、患者の血液検体からDNAを抽出し、その内の腫瘍由来のBRAF変異DNAの定量解析を行い、バイオマーカーとしての有用性を検討する。血液内にはDNAは微量にしか含まれず、その内の腫瘍由来DNAはさらにごく微量にしか含まれない。したがって、より効率よくDNAを抽出することが重要である。健常人の血液検体から、採血量、使用検体量、抽出バッファー、DNAの定量法まで様々な条件で検討を重ね、最適条件を決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
・メラノーマ培養細胞ならびにプラスミドを用いて、PCR法での感度、特異度、精度の検討を行う。 ・患者検体を用いて、ctDNAやcfDNAを測定し、時系列変化、腫瘍の病期との関連、原発巣の遺伝子型との比較などで検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだより安価に研究が進んだこと、当初予定していた発表のための国内出張が研究進捗状況により次年度実施することになったこと、などから次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成27年度請求額とあわせて、実験消耗費として使用するとともに旅費として使用する。
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