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2015 年度 実施状況報告書

炎症性皮膚疾患における新しい角層バリア機構の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 26461688
研究機関岐阜大学

研究代表者

加納 宏行  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40566494)

研究分担者 清島 眞理子  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00171314)
稲垣 直樹  岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (30137062)
中村 光浩  岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (30433204)
大澤 陽介  東京都立駒込病院, 肝臓内科, 医長 (60447787) [辞退]
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード角層脂質 / 長鎖脂肪酸セラミド / バリア機能 / アトピー性皮膚炎 / インターフェロンγ
研究実績の概要

アトピー性皮膚炎(AD)と乾癬において病変部皮膚角層の長鎖脂肪酸を有するセラミドの割合が減少していること、培養ヒト正常表皮細胞でIFNγが長鎖脂肪酸セラミドの合成に関わる酵素ELOVL、CerSの発現を低下することを見いだしている。ADの慢性病変と乾癬ではIFNγの増加が指摘されおり、それが角層セラミドの脂肪酸を短鎖化し、その結果バリア機能を低下させている可能性がある。この現象をin vivoで検証すべく、アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Ngaマウス)で角層脂質のセラミド分析、皮膚のELOVL、CerS、およびサイトカインの発現を検討した。
NC/Ngaマウスは本来アトピー性皮膚炎を自然発症するが、我々の施設のconventional環境下では皮膚炎を発症しない。したがって、耳介及び背中にダニ抽出液を週二回、5回ないし9回塗布し検討したところ、5回塗布で皮膚炎、血清IgEの増加、サイトカインの上昇等が起こることを確認した。RT-qPCRにて、耳介のELOVL5,6の減少、CerS3が増加、CerS1,4,5の減少、サイトカインはIFN-γ、IL-4、IL-12の増加を確認した。一方、背部皮膚から脂質抽出しセラミドをLC/MSにて分析したが、安定した脂質抽出法を確立できなかった。そこで耳介からの脂質抽出に変更し、最終的に耳介皮膚を表皮と真皮に分離し、表皮を分析することで安定した脂質抽出ができるようになった。そして、ダニ抽出液塗布群で短鎖セラミド(C14, C16, C18, C20)の割合が増加し、長鎖セラミド(C24, C26)の割合が減少することが確認できた。NC/Ngaマウス胎仔由来ケラチノサイトを培養してELOVL、CerSの分布をみるとELOVL5,6、CerS4,5が多く発現しており、その発現量の変化がセラミド組成の変化をもたらしたと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今回、マウス皮膚炎モデルにおいて、皮膚のIFNγ、セラミド合成関連酵素ELOVL、CerSの変化とともに、そのアウトカムである角層脂質分析が最も重要なデータになるが、マウス皮膚角層脂質の分析で、脂質抽出法の確立に手間取ったことが最大の要因と考えている。
マウス背部皮膚からの脂質抽出を断念し、当初、その面積の小ささから無理と考えていた耳介からの抽出にトライしたが、安定したデータが得られず、最終的に表皮と真皮を酵素処理で分離して表皮のみを使う様にしてデータが安定してきて、今回の成果が得られたが、そこまでに想定を超えた時間を要した。

今後の研究の推進方策

マウス皮膚炎モデルで、皮膚のIFNγ発現の増加、長鎖セラミド合成に必須の酵素ELOVL、CerSの発現低下、そして角層セラミドで長鎖脂肪酸セラミドの割合の低下という現象を確認することができた。あくまで3者の現象を見ているだけなので、仮説の検証をより強固にするため、予定通りまず、IFNγ発現ベクターのhydrodynamic tail vein injection法により、IFNγの効果を皮膚炎とは関係ない系で検証する実験を開始している。さらに、皮膚IFNγ発現が増加するもう一つのモデル系であるイミキモド塗布による乾癬モデルマウスで、同様の検証を行うことにしている。

次年度使用額が生じた理由

マウス購入費用が予定よりわずかに安く済んだため。

次年度使用額の使用計画

次年度のマウス購入費用の一部として使用する予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Decreased expression of ELOVL and ceramide synthase in dermatitis caused by repeated exposure to house-dust mite in NC/Nga mice2015

    • 著者名/発表者名
      Kanoh H, Ishitsuka A, Fujine E, Matsuhaba S, Nakamura M, Inagaki N, Banno Y, Mariko Seishima M
    • 学会等名
      The 40th Annual Meeting of the Japanese Society for Investigative Dermatology
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-13

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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