研究課題/領域番号 |
26461689
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 泰介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90293638)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 円形脱毛症 / 細胞走化性 / ケモカイン / 形質細胞様樹状細胞 / インターフェロンアルファ / ケメリン / 免疫寛容 |
研究実績の概要 |
C3H/HeJマウスは円形脱毛症を自然発症するマウスである。この発症において形質細胞様樹状細胞の関与について検討を行った。比較マウスとしてFVBマウスを検討した。皮膚から抽出した浸潤細胞の検討から、円形脱毛症未発症マウスにおけるpDCsの数はFVBマウスと比較して有意に多いことが判明した。また円形脱毛症を発症しているマウスの非病変部は病変部と比較して有意に多くpDCsが浸潤していることがわかった。このことは免疫組織科学的にも同様の結果であった。さらにpDCsを走化させるケモカインであるケメリンの発現も同様な傾向の発現をしていることが、免疫組織科学的検討、mRNA発現の比較から明らかになった。pDCが産生するIFN-alphaの発現も円形脱毛症発症マウスの非病変部において最も多く発現していた。FVBマウスではほとんど発現していないことがわかった。円形脱毛症の発症メカニズムとして、毛包における免疫寛容が破綻し自己抗原が、浸潤する細胞障害性T細胞によって認識されるとされているが、この免疫寛容の破綻には従来IFN-gammaが関与しているとされてきたが、IFN-alphaとともに共培養したマウス髭組織においても毛母細胞や近位外毛根鞘でのMHC-class I発現の亢進が確認された。このことからpDCsが産生するIFN-alphaによっても毛包の免疫寛容の破綻が起こし得ることがわかった。さらにCXCL10発現の亢進も観察されたことから、IFN-alphaによってCXCL10発現が誘導され、その結果、Th1細胞、Tc1細胞が毛包周囲に浸潤してくることが想像された。 こうした結果については、平成26年度の日本研究皮膚科学会、欧州研究皮膚科学会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の研究としておおむね順調な結果である。それぞれの結果の検証を行うため、同じ実験の繰り返しによる再現性を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は形質細胞様樹状細胞によって円形脱毛症そのものが誘導できれば、円形脱毛症の病変にこの細胞が強く関与していることが理解される。
これについて検討を行っていきたいと思っている。今後の推進方策について、そもそも必要であるC3H/HeJマウスの円形脱毛症をより効率的に誘導発症させるため、C3H/HeJマウスに円形脱毛症を誘導させる方法を新たに持ち込むことにしている。
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