研究課題
角化細胞特異的にphospholipase C epsilon (PLCε ) を過剰発現させたトランスジェニックマウス (K5-PLCε -TGマウス)を作成し、その表現形、病理組織学的所見、各種外的刺激に対する反応を調べた。K5-PLCε -TGマウスは生後3週後より体毛に鱗屑が生じ、また生直後から尾が太く鱗屑を付着するという表現形を備えていた。尾の皮膚の病理学的特徴として、表皮肥厚、表皮突起軽度延長、表皮内への好中球浸潤が確認された。また、同皮膚の角化細胞では、signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3) の活性化が起こっていることが、活性化型STAT3の存在を免疫化学染色法により明らかとなった。紫外線皮膚発がん実験(12週齢マウスの剃毛した背部皮膚に、ultraviolet Bを250 mj/cm2を週3回4週、続いて500 mj/cm2を週3回4週、続いて1000 mj/cm2を週3回37週照射)を行ったところ、紫外線照射開始45週後にはK5-PLCε -TGマウスには野生型マウスに比べて皮膚発がんが著明に多く発生することが示された。その理由として、K5-PLCε -TGマウス皮膚で高発現しているSTAT3によるアポトーシス抑制作用により角化細胞の紫外線によるアポトーシスが抑制され、紫外線によって遺伝子に傷を負った細胞が生き残り易くなり、遺伝子異常が蓄積された結果発がんしやすくなると想定した。K5-PLCε -TGマウスの皮膚の創傷治癒能力を見る目的で、同マウスと野生型マウスの耳に傷をつけその回復能力を観察したところ、K5-PLCε -TGマウスの皮膚は野生型マウスの皮膚に比べて創傷治癒能力が著明に更新していることが明らかとなっらた。
2: おおむね順調に進展している
予定していたK5-PLCε -TGマウスを用いた皮膚発がん実験とその実験結果の検証が終了したため。
K5-PLCε -TGマウスの皮膚は野生型マウスの皮膚に比べて創傷治癒能力が著明に更新している理由を明らかにする。PKCミューノックアウトマウス作成を行う。
予定していたPKCミューノックアウトマウス作成がやや遅れたため、この実験に要する経費をの一部を費消していないため。
PKCミューノックアウトマウス作成に対する経費として使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件)
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