研究課題/領域番号 |
26461693
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 暁生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (70714088)
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研究分担者 |
柳瀬 雄輝 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (40452586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経口免疫寛容 |
研究実績の概要 |
本研究では、食物アレルギーの予防法の開発に向けて、肝臓に存在する類洞内皮細胞(LSEC)のリンパ球寛容システムに着目し、経口免疫寛容におけるLSECの役割を明らかにすることを目的としている。経口免疫寛容が生じる機序については、腸管粘膜における粘膜免疫が深く関わっていると考えられているが、粘膜免疫の主要な場である小腸パイエル板がないマウスでも経口免疫寛容が誘導されるとの報告もあり、全身的な免疫寛容を誘導する他の機序の存在も示唆されている。我々はその一つの可能性として、肝臓が免疫寛容の誘導に関わっていると考えている。最近の研究で、肝臓のLSECが免疫寛容を誘導することが明らかになり、LSECが経口免疫寛容に関わっていることが推測されるが、これまでの研究は主として臓器移植における拒絶反応にかかわる細胞性免疫の知見に限られ、IgEを初めとする液性免疫についての知見は十分に得られていない。本研究によって、LSECを介した経口免疫寛容の機序が明らかになり、食物アレルギーの新しい予防法の開発につながることが期待できる。平成26年度は、下記の2つのサブテーマを設定し、経口免疫寛容におけるLSECの関与と役割を明らかにすることを試みた。 1. In vivoでの腸管粘膜を介さない免疫寛容機序の検討:マウスへのOVA感作の前処理として、あらかじめ門脈にOVA抗原を投与すると、その後のOVA感作によるIgE産生が抑えられ、免疫寛容が誘導されることを確認した。 2. In vitroでのLSEC によるT細胞の免疫寛容誘導の解析:LSECによるOVAの取り込みをin vivoとin vitroの両方について確認した。OVAを取り込んだLSECとT細胞と共培養し、OVAに反応するT細胞に対するアポトーシスを誘導する条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、下記の2つのサブテーマを設定し、経口免疫寛容におけるLSECの関与と役割を明らかにすることを試みた。「2. In vitroでのLSEC によるT細胞の免疫寛容誘導の解析」については若干の遅れがみられるが、おおむね計画通りに研究は進んでいる。 1. In vivoでの腸管粘膜を介さない免疫寛容機序の検討:LSECが経口免疫寛容を誘導し得るという仮説を証明するために、マウスの門脈に直接OVAを投与し、腸管粘膜を介さずとも液性免疫で免疫寛容システムが働くことをin vivoの系で検討した。マウスへのOVA感作の前処理として、あらかじめ門脈にOVA抗原を投与すると、その後のOVA感作による総IgE産生とOVA特異的IgEの両方が抑えられ、免疫寛容が誘導されることを複数回の実験で確認した。現在、門脈へのOVA投与量やそのタイミングなどについて、免疫寛容誘導に最適な条件を検討中である。 2. In vitroでのLSEC によるT細胞の免疫寛容誘導の解析:LSECにOVAを投与したのちにT細胞と共培養し、OVAに反応するT細胞のアポトーシスを確認するなど、in vitroでのLSECの働きを解析し、そのための条件を検討する。最初に、LSECによるOVAの取り込みをin vivoとin vitroの両方について確認した。in vivoでは、門脈内にOVAを投与した後に肝臓を取り出し、蛍光抗体法を行った。OVAを門注することでLSECはOVAを取り込むことが確認された。in vitroでは、マウスの肝臓から取り出したLSECをシャーレ内で培養し、OVAを加え、LSECがOVAを取り込むことを確認した。現在、OVAを取り込んだLSECとT細胞と共培養し、OVAに反応するT細胞に対するアポトーシスを誘導する条件を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1. In vivoでの腸管粘膜を介さない免疫寛容機序の検討:計画通りに進行しており、OVAの門脈内の投与の条件を変えながら、引き続き検討を行う。 2. In vitroでのLSEC によるT細胞の免疫寛容誘導の解析:OVAに反応するT細胞を得るために、すべてのT細胞にOVAに対するTcell receptor(TCR)が発現しているトランスジェニックマウスを入手し、現在繁殖中である。近日、OVAに対するTCRを発現しているT細胞を採取し、OVAを取り込んだLSECとの反応を見ることができると考えている。 これらの研究と並行して、平成27年度は「3. LSECによる全身的な免疫寛容誘導の探究」として、In vitroでLSECにOVAを感作したのちに免疫不全マウスに投与することで、OVAに感作したLSECを持つLSECキメラマウスを作成することを計画している。このLSECキメラマウスがOVAに対する全身的な免疫寛容を誘導することの検討を行い、LSECによって食物抗原(OVA)の全身的な免疫寛容が誘導されることをマウスモデルで証明することを目指す。
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