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2014 年度 実施状況報告書

増殖因子の導入を目的とした新しい創傷治療剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26461696
研究機関大分大学

研究代表者

岡本 修  大分大学, 医学部, 客員研究員 (40284799)

研究分担者 松尾 哲孝  大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
藤原 作平  大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードデルマトポンチン / 細胞外マトリックス
研究実績の概要

本研究で、デルマトポンチン(DP)と結合能をもつI型コラーゲン、フィブロネクチン、フィブリンは、いずれも血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子‐2(FGF-2)、血小板由来増殖因子‐BB(PDGF‐BB)と結合することが確認されたが、表皮増殖因子(EGF)のみは明らかな結合は認められなかった。今回精製されたDPは単独でPDGF-BBとごくわずかな結合を示したが、他の細胞増殖因子とは結合せず、以前の知見の再現性は認められなかった。これはロット差があることを示していると考えられた。
しかしDPはFGF-2、PDGF-BB、VEGFと、コラーゲン、フィブロネクチン、フィブリンとの結合を増強した。さらに我々はコラーゲン、フィブロネクチン、フィブリンによるFGF-2の生物活性の修飾を検討したが、これらのタンパク質によるFGF-2の生物活性の増強は微弱で、DPによる活性の増強は認められなかった。興味深いことに、EGFとの結合がないにもかかわらず、フィブリンは単独でEGFの細胞遊走能を増強し、DPはその細胞遊走増強活性をさらに増強した。他の細胞増殖因子に関してはDPやこれらのタンパク質による生物活性の明らかな増強は認められなかった。
DPが多発性骨髄腫細胞であるRPMI8226の増殖を強く抑制することに関し、DP存在下でのRPMI8226の遺伝子発現の変化を検討した。多くの遺伝子でPCRのかからないものが認められ、遺伝子の断片化が高度に引き起こされていると思われた。このため遺伝子発現の比較に関しては実験条件の変更が必要と判断された。
これら一連の研究作業中、DPの活性にロット差があると判断された。このことから、可能な限り一定条件でDPを精製する必要が生じたため、リコンビナントタンパク質を発現させ、未変性条件で精製することを開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回検討した細胞外マトリックス成分とEGF以外の細胞増殖因子は各々別個に生物活性を発揮し、効果は相加的であった。細胞外マトリックス成分があることにより細胞増殖因子の生物学的半減期も延長せず、両者の結合は一部にとどまると考えられた。このため当初予定した人工マトリックスの開発は限定的になることが明らかとなった。
これに加えて実験に使用するデルマトポンチンのロット差があることが判明したため、一定条件でデルマトポンチンを精製することが望ましいと考えられた。このためリコンビナントデルマトポンチンを発現させ、可及的未変性条件でこれを精製することに研究がシフトしている。

今後の研究の推進方策

哺乳類の細胞である293-EBNA細胞にコンストラクトを導入してリコンビナントデルマトポンチンを発現させる系を確立した。今後大量に培養上清を集めて精製を試みる。精製のためには硫酸アンモニウム沈殿で分画したのちにゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーを使用することを計画している。

次年度使用額が生じた理由

購入に適した物品があったが、差額の5769円でまかなえなかったため、次年度に繰り越して使用することとしたため。

次年度使用額の使用計画

次年度の物品購入時に繰り入れる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Three cases of elastofibroma with immunohistochemical analysis of microfibrillar components.2014

    • 著者名/発表者名
      Uehara M, Matsuda K, Kato A, Sato S, Shimizu F, Ooatari M, Kai Y, Shimada H,Hatano Y, Okamoto O, Katagiri K, Sasaki T, Fujii N, Fujiwara S
    • 雑誌名

      Eur J Dermatol

      巻: 24 ページ: 691-693

    • DOI

      10.1684/ejd.2014.2427

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of fibronectin binding sites in dermatopontin and their biological function.2014

    • 著者名/発表者名
      Kato A, Okamoto O, Wu W, Matsuo N, Kumai J, Yamada Y, Katagiri F, Nomizu M, Fujiwara S
    • 雑誌名

      J Dermatol Sci.

      巻: 76 ページ: 51-59

    • DOI

      10.1016/j.jdermsci.2014.07.003.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Functional peptide of dermatopontin produces fibrinogen fibrils and modifies its biological activity.2014

    • 著者名/発表者名
      Wu W, Okamoto O, Kato A, Matsuo N, Kumai J, Nomizu M, Fujiwara S.
    • 雑誌名

      J Dermatol Sci.

      巻: 76 ページ: 34-43

    • DOI

      10.1016/j.jdermsci.2014.07.002.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nuclear factor Y (NF-Y) regulates the proximal promoter activity of the mouse collagen α1(XI) gene (Col11a1) in chondrocytes.2014

    • 著者名/発表者名
      Hida M, Hamanaka R, Okamoto O, Yamashita K, Sasaki T, Yoshioka H, Matsuo N.
    • 雑誌名

      In Vitro Cell Dev Biol Anim.

      巻: 50 ページ: 358-366

    • DOI

      10.1007/s11626-013-9692-3.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dermatopontin regulates fibrin formation and its biological activity.2014

    • 著者名/発表者名
      Wu W, Okamoto O, Kato A, Matsuo N, Nomizu M, Yoshioka H, Fujiwara S.
    • 雑誌名

      J Invest Dermatol.

      巻: 134 ページ: 256-263

    • DOI

      10.1038/jid.2013.305.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] デルマトポンチンの生物学-これは何をしているのか?-2015

    • 著者名/発表者名
      岡本 修
    • 学会等名
      第67会日本皮膚科学会西部支部総会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2015-10-17 – 2015-10-17
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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