本研究では悪性黒色腫の病理組織検体を用い各種脈管増殖因子群の発現を免疫染色により網羅的に解析し、臨床予後、他臓器転移などの多様な臨床情報を統計学的な解析をおこなった。HGF(肝細胞増殖因子)の発現と遠隔転移の有無に強い相関があることを見出した。悪性黒色腫患者の中で、遠隔転移群の原発巣では、非遠隔転移群と比較しHGFの発現が低い傾向が見られた。HGFはこれまでに、他の癌腫においても癌細胞の浸潤や転移などに大きく関与するタンパクであることが知られている。悪性黒色腫においても、遠隔転移に関連していると考えられ、予後予測因子、治療標的分子になりえる可能性が示唆された。
|