研究課題
本年度はヒトメラノーマ細胞株の免疫不全マウスへの異種移植モデルにおいて優先的に中枢神経転移をきたすメラノーマ細胞の遺伝子発現増強パターン(マイクロアレイ解析)について再分析を行った。解析対象はSK-MEL-28およびMeWoメラノーマ細胞株を用い、メラノーマに選択的な遺伝子増強がみられる遺伝子を検索した(比較対照には乳がん細胞株MDA-MB-231を用いた)。K-mean cluster分類からメラノーマで発現の高い99遺伝子が絞られた。興味深いことにメラノソーム構造タンパク質gp100(Silver/Pmel17)の発現増強が含まれ、これと共役する膜タンパク分子Gpnmbとその上流転写因子Mafの発現が増強していた。さらに公共データベース Cancer Cell Line Encyclopedia Project (http://www.broadinstitute.org/ccle/home)との照合から他の組織由来がん細胞との比較においてメラノーマ細胞でGpnmbの発現が顕著に高い傾向を示した。Gpnmb過剰発現は上皮間葉転換(EMT)と細胞運動を促進すること、更にメラノーマの主要な腫瘍原性変異BRAF(V600E)やNRAS(Q61K/Q61R)は、RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達カスケードを恒常的に活性化し、Mafがその標的として活性化されることが示唆されている。これらin silico遺伝子発現の特徴から、メラノーマ固有の生物学的特性が転移・浸潤能とともに治療抵抗性に影響していることが考えられた。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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