研究課題
本研究課題では、アミノ酸のキラリティ特異性に着目して、中枢神経系におけるキラル特異的なアミノ酸分子の機能、およびキラル特性を持たないグリシンの、統合失調症を中心とした精神神経疾患における分子病態の解明およびそれに基づいた新な治療法の開発を目指してきた。特に、ストリキニン非感受性グリシン結合部位を持つNMDA型グルタミン酸受容体(以下NMDA受容体)は、グリシンおよびD体セリンがキラリティ選択的に高い親和性で結合することから、統合失調症の治療標的として着目されてきた。さらに、NMDA受容体はフェンサイクリジン(PCP)によって阻害されるが、PCPによって個体発達に依存性の精神病症状の発現が知られていることから、PCPに応答する脳内発現遺伝子を解析し、さらにこれらのヒト相同遺伝子の疾患関連解析を行ってきた。最終年度では、さらに、ストリキニン感受性グリシン受容体が、一部の精神神経疾患の症状発現に関わることを明らかにした。興奮性および抑制性アミノ酸受容体のキラリティ特性に着目した一連の研究によって、新たな精神神経疾患の分子病態および診断法・治療法の開発の端緒が明らかになったということができる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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