研究課題
高磁場(3Tesla)MRI装置を用いて、リチウムの基底核グルタミン酸低下(Shibuya- Tayoshi S et al. 2008 )、ベンゾジアゼピンの基底核グルタミン酸増加(Tayoshi S et al. Schizophr Res. 2009)、抗精神病薬の前部帯状回や基底核のGABA濃度変化、抗コリン薬の基底核GABA濃度を増加(Tayoshi S et al. Schizophr Res. 2010))をこれまでに見出している。これらの所見は、アミノ酸神経伝達への向精神薬の影響の検討に、高磁場MRS法が有用であることを示している。本研究は、高磁場MRSを薬理学的研究に展開するものである。精神疾患患者および年齢性別を一致させた健常対照者を対象として、GE 社製のSigna 3T Excite を使用し、帯状回と基底核にsingle voxelを置き、STEAM法でGlutamate(Glu)およびGlutamine(Gln)を、GABAをMEGA-PRESS法で分離定量し、抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬の影響を検討するための症例を集積した。MRSのほか形態画像解析も行う。また、遺伝子多型、メチル化とのアミノ酸神経伝達の関連をみるため分子遺伝学的な解析、および認知機能との関連をみるための認知機能検査も進めている。
2: おおむね順調に進展している
対象症例のMRS測定は順調に進んでいる。抗精神病薬に関しては、統合失調症のみでなく、抗精神病薬を使用している双極性障害と強迫性障害をも対象に加えている。気分安定薬(リチウム、バルプロ酸)に関しては双極性障害患者において、抗うつ薬に関してはうつ状態のほか強迫性障害において集積が進んでいる。形態画像解析のためのデータと、機能形態画像との関連を解析するための分子遺伝学的なデータも集積が進んでいる。
これまで同様に、同意を得た患者および健常対照者を対象に、高磁場(3Tesla)MRI装置を用いて、グルタミン酸とGABAと測定し、1)抗精神病薬の影響、2)気分安定薬(リチウム、バルプロ酸)の影響、3)抗うつ薬の影響、について検討を進め、さらに4)認知機能との関連を考慮した解析、5)遺伝子指標を考慮した解析、をも進めてゆく。
平成27年3月分の人件費が、事務処理上翌月の支払いとなり次年度に計上することになった。
次年度への繰越金は、人件費と消耗品に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (5件)
J Med Invest.
巻: 62(1-2) ページ: 51-55
10.2152/jmi.62.51.
Epigenetics.
巻: 10(2) ページ: 135-141
10.1080/15592294.2014.1003743. Epub 2015 Jan 14.
Psychiatry Clin Neurosci.
巻: 69(3) ページ: 145-152
10.1111/pcn.12240.
Neurosci Lett.
巻: 582 ページ: 93-98
10.1016/j.neulet.2014.08.052.
Neuromolecular Med.
巻: 16(4) ページ: 697-703
10.1007/s12017-014-8319-5.
J Clin Neurosci.
巻: 21(9) ページ: 1595-1598
10.1016/j.jocn.2013.12.020.
Hum Psychopharmacol.
巻: 29(2) ページ: 190-198
10.1002/hup.2381.