研究課題/領域番号 |
26461719
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大森 哲郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (00221135)
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研究分担者 |
住谷 さつき 徳島大学, 特別修学支援室, 教授 (90346594)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神薬理学 / 脳画像解析 / グルタミン酸 / GABA |
研究実績の概要 |
高磁場(3Tesla)MRI装置を用いて、リチウムの基底核グルタミン酸低下(Shibuya-Tayoshi S et al. 2008 )、ベンゾジアゼピンの基底核グルタミン酸増加(Tayoshi S et al. Schizophr Res. 2009)、抗精神病薬の前部帯状回や基底核のGABA濃度変化、抗コリン薬の基底核GABA濃度を増加(Tayoshi S et al. Schizophr Res. 2010))をこれまでに見出している。これらの所見は、アミノ酸神経伝達への向精神薬の影響の検討に、高磁場MRS法が有用であることを示している。本研究は、高磁場MRSを薬理学的研究に展開するものである。精神疾患患者および年齢性別を一致させた健常対照者を対象として、GE 社製のSigna 3T Excite を使用し、帯状回と基底核にsingle voxelを置き、STEAM法でGlutamate(Glu)およびGlutamine(Gln)を、GABAをMEGA-PRESS法で分離定量し、抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬の影響を検討するための症例を集積した。MRSのほか形態画像解析も行う。NMDA受容体のグリシン調節部位に対する部分アゴニストであるD―サイクロセリン投与によるグルタミン酸とGABA濃度変化の研究も行い、データを解析中である。また、遺伝子多型、メチル化とのアミノ酸神経伝達の関連をみるため分子遺伝学的な解析、および認知機能との関連をみるための認知機能検査も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象症例のMRS測定は順調に進んでいる。抗精神病薬に関しては、統合失調症のみでなく、抗精神病薬を使用している双極性障害と強迫性障害をも対象に加えている。気分安定薬(リチウム、バルプロ酸)に関しては双極性障害患者において、抗うつ薬に関してはうつ状態のほか強迫性障害において集積が進んでいる。D―サイクロセリンの影響に関しては二重盲検クロスオーバー法による試験を終え、データを解析中である。形態画像解析のためのデータと、機能形態画像との関連を解析するための分子遺伝学的なデータも集積が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同様に、同意を得た患者および健常対照者を対象に、高磁場(3Tesla)MRI装置を用いて、グルタミン酸とGABAと測定し、1)抗精神病薬の影響、2)気分安定薬(リチウム、バルプロ酸)の影響、3)抗うつ薬の影響、について検討を進め、さらに4)認知機能との関連を考慮した解析、5)遺伝子指標を考慮した解析、をも進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める上で残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越金は消耗品と謝金に使用予定である。
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