研究課題/領域番号 |
26461720
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
住谷 さつき 徳島大学, 特別修学支援室, 教授 (90346594)
|
研究分担者 |
沼田 周助 徳島大学, 大学病院, 講師 (10403726)
原田 雅史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20228654)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 強迫性障害(OCD) / 薬物応答性 / 中間表現型 / ゲノムワイドジェノタイピング / MRS / NIRS / 5-HTTLPR / SSRI |
研究実績の概要 |
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder; OCD)の病態と薬物応答性予測を分子レベルで解明することを目的として2種類の機能画像手法、プロトンMRSと多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を中間表現型した研究を行っている。平成27年度は、主に多チャンネルNIRSを用いて薬物応答性異なるOCD患者に前頭葉課題を負荷した時の脳血流変化のパターンを解析し特徴を見出す研究と遺伝子解析研究を並行して行った。93人のOCD患者をSSRIに反応の見られた群、SSRIと非定型抗精神病薬の併用で反応が見られた群、これらの薬物治療に反応が見られなかった群に分けてゲノムワイド関連解析を行ったが、薬物応答性と関連のある遺伝子多型はみられなかった。この結果はNeuroscience2015で発表した。また、前年度に行ったBDNF Val66Met多型、COMT Val58Met多型に加えて5-HTTLPR多型と薬物応答性の関連についても解析を行ったがこの結果も有意ではなかった。5-HTTLPR多型と薬物応答性の関連については第37回日本生物学的精神医学会で発表した。一方、機能画像研究では、42人のOCD患者と年齢性別の一致した健常対象者42人のStroop検査とVFT試行中の多チャンネルNIRSの撮像を行い、薬物応答性の違いによってStroop課題を行っているときの前頭葉脳血流変化に特徴があることが見出された。この結果は第37回日本生物学的精神医学会で発表した。また、3Teslaの高磁場MR装置を用いた70人のOCD患者と年齢性別の一致した健常対象者70人の1H-MRSの撮像は終了しており、基底核における脳内代謝物変化と薬物応答性の関連を解析中である。今後はさらに手法を変えた遺伝子解析を行いこれまでに得られた機能画像データがどのようにOCDの薬物応答性に関与するかの検討を行うとともに、これまでに得られた成果を論文化する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に値する症例数と年齢性別を一致された健常対照群の多チャンネルNIRSと1H-MRSの撮像は行われておりさらなる解析中である。遺伝子解析はゲノムワイドジェノタイピングからパスウエイ解析、遺伝子多型解析、遺伝子発現解析と様々な手法でアプローチを行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は個々の患者の複数の手法から見出された遺伝子データと中間表現型として1H-MRSと多チャンネルNIRSで得られた機能画像データとの照合を行う予定である。結果をまとめ、先行研究や他の機能画像を用いた論文との比較を行い、前頭葉血流変化や脳内代謝物変化を中間表現型としたOCDの病態解明と薬物応答性予測を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初データ入力、解析のため研究支援者に協力を要請し、謝金を支払うことを計画していたが、条件を満たす支援者がみつからず、研究室内で自らデータ入力・解析等の作業を行ったため残額が生じた。 また、薬品等の消耗品が予定していたより安価で購入できたため残額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費は画像解析ソフトと統計解析ソフトの購入、研究補助謝金、成果報告のための学会旅費に使用する予定である。
|