研究課題
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder; OCD)の主な治療薬であるSSRIおよび非定型抗精神病薬への薬物応答性と遺伝的要因がどのように関与しているか調べることを目的にプロトンMRSと多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を中間表現型した研究を行った。遺伝子解析に関して、当初OCD患者をその薬物応答性により亜系分類してゲノムワイド関連解析(GWAS)を行ったが関連のある遺伝子多型はみられなかった。また、BDNF Val66Met多型、COMT Val58Met多型、5-HTTLPR多型と薬物応答性の関連についても解析を行ったが有意ではなかった。そこで、本年度はGWASによるパスウエイ解析を行ったところ、SSRI反応群に関連する8つのパスウエイと非定型抗精神病薬付加療法反応群に関連する5つのパスウェイが見出され、それらが共有するカルシウムシグナリングパスウェイがOCDの薬物応答性と何らかの関連があることが示された。この結果は第26回日本臨床精神神経薬理学会で発表するとともに論文発表した。これと並行して多チャンネルNIRSを用いて薬物応答性異なるOCD患者に複数の種類の前頭葉課題を負荷した時の脳血流変化のパターンを解析し特徴を見出す研究を行った。42人のOCD患者と年齢性別の一致した健常対象者42人の認知機能検査試行中の多チャンネルNIRSの撮像を行い、薬物応答性の違いによってStroop課題を行っているときの前頭葉脳血流変化に変化があることが見出された。この結果はすでに前年度に第37回日本生物学的精神医学会で発表したが、本年度は論文発表を行った。遺伝子解析の結果と中間表現型としての機能画像研究の結果を照合しOCDの薬物応答性予測に有用な手法についてさらに解析を進めて論文化する予定である。
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