研究課題
統合失調症の患者が多発する3世代の大家系から、罹患者・非罹患者それぞれから血液を採取しDNAを採取した。採取されたDNAを用いて全エクソン解析をおこない、候補遺伝子の選定を行った。結果として2つの遺伝子の2変異が選定された。統合失調症発症発症における関与を解析するため、多検体解析を行った。SeqCap EZ Library SRシステムを用いて上記2遺伝子全体(exon/intron全体を含む)をカバーするDNA濃縮キットを作製し、統合失調症288名、健常対照群 419 名を用いて解析を行った。1つの変異に関しては健常対照群で2名同様の変異をもつsampleが確認され、統合失調症サンプルにおいては変異を持つsampleは確認されなかった。そのため、病原性をもたないpolymorphismと考えられ、候補遺伝子から除外することとした。一方の変異に関しては、解析したすべてのサンプルにおいて確認されなかった。また関連解析の結果、この変異は統合失調症と関連があるものと考えられた。上記結果より、本家系における最終的なrare candidate mutationとして一つの変異が同定できており、今後機能解析を進めていく予定である。また本年度は、自閉症や自閉症スペクトラムの診断のために世界的に最も信頼されている検査であるADOS2(Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)を導入し、患者・非罹患者に対して自閉症傾向に対する検査を進めている。
2: おおむね順調に進展している
関連解析の結果、2つの候補遺伝子が1つに絞ることができているため。
今後、上記遺伝子の神経発生に関する影響を解析するため、crispr-cas9システムを用いてノックアウト細胞・マウスの樹立を目指している。またADOS2を用いて自閉症傾向を中間表現型として、対象者の罹患・非罹患を再検討する予定である。
関連研究について、予想よりも費用がかからなかった。
今後、前期の候補遺伝子の神経発生に関する影響を解析するため、crispr-cas9システムを用いてノックアウト細胞・マウスの樹立を行う。
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