研究課題/領域番号 |
26461722
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 尚宏 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (40432976)
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研究分担者 |
黒滝 直弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (20423634)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リチウム / うつ病 / 自殺 / 低濃度 / 微量 / 衝動性 |
研究実績の概要 |
まずは生後4週のC57BL6♂のマウスを購入し、水道水と炭酸リチウムを溶かした水道水を与えて100日間ほど観察した。炭酸リチウムの濃度は125mg/L、62.5mg/L、31.25mg/L、15mg/L、8mg/Lの5点を用意し、各濃度と水道水のみにそれぞれ3匹のマウスを使用し実験を開始した。結果としては炭酸リチウムを溶かした水道水と、水道水のみを投与したマウスでは飲水量に大きな変化はなかったが、炭酸リチウム投与群は、水道水投与群よりも体重が少し少なくなった。これは、以前から報告にあることだが、リチウム投与でエサの摂食量が落ちるからと考えられた。特に大きな健康被害もなかった(腎臓の組織検索等はまだ行っていない)。これらのマウスにOpen-field testやResident-Intruder testなどの行動実験を行い行動量や、安心感、衝動性などを比較したが、炭酸リチウム投与群のマウスでは水道水投与群と比べて衝動性が低下していることを示唆する結果となった。しかし、これは、高濃度リチウムを投与したときに起こる腎障害によって行動量が減ったから起こるわけでないことはOpen-field testの比較によって確認できた。安心感に関しても特に差は認められなかった。以上の結果を受けて、現在は生後4週のC57BL6♂マウスで水道水投与群21匹と、炭酸リチウム50mg/Lを溶かした水道水投与群21匹を準備し200日以上投与を行い同様の行動実験を行っている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微量元素のうちリチウムについては順調に研究は進んでいるが、リチウムの血中濃度が予想よりも大幅に少なく、準備していたキットでは血中濃度が測定できず、高感度の質量分析器で測定を外注しなければならなくなったため、思ったより頻繁に血中濃度が測れなくなったこと。また、当研究室の純水作成装置が故障し、水道水と純水(脱イオン水)を投与する実験が未だ開始できていないことが理由。
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今後の研究の推進方策 |
水道水~純水投与行動実験 水道水と純水をマウスに投与を行い、行動試験バッテリーにて評価する。差が確認できた水については質量分析器(外注)にてMg2+、Na+、Zn2+、K+、Ca2+微量元素の定量を行う。 リチウム投与マウス 本年度実験を開始したマウスの解析を行うことと、さらに低濃度リチウムを投与したマウスの実験を行い、どこまで低濃度のリチウムが衝動性を減らす効果があるのかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
リチウム投与したマウスのリチウム血中濃度が予測より大幅に低く、準備していたキットでは測定できず、全て質量分析器での測定を外注しなければならなかったこと、加えて当教室の純水装置の故障により、水道水と純水投与のマウスの実験が準備できず、少し研究に遅れが生じているため。
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次年度使用額の使用計画 |
残金は質量分析器でのリチウム血中濃度測定外注の金額に充てる。その他の使用計画に大幅な変更はない。
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