研究課題
本研究の目的は,統合失調症治療の上で重要な課題である,職業的・社会的機能回復の問題について,聴くこと・語ることの訓練を介して生じる脳機能変化(言語・聴覚関連脳領域の修復・再生~他者への共感・気遣いの機能の増強)を明らかとし,その効果をより高める新たな治療手段としての,薬物・幹細胞併用療法の有用性を検討,開発を進めることである。初年度,および2年目は,(1) 種々の由来の幹細胞の投与が,モデル動物の脳内にどのような形で生着し,神経回路修復に影響を及ぼすかを検討する為,投与細胞の標識法の改良を図り,CFSE色素標識法に加え,GFP遺伝子導入の検討を進め,胎児脳由来神経幹細胞,成体骨髄間葉系幹細胞,およびiPS細胞で,それぞれ明瞭な標識結果を得,種々の投与方法において,投与1週~1か月後の脳内での生存・生着を得た。また,(2) 社会性機能に関わる行動異常とその改善効果に関して,GABA系インターニューロンの機能変化が,社会機能回復に及ぼす影響を脳神経学的に解析する一手段として,モデル動物の脳波学的解析の検討を進めた。本年度(3年目)は,(3) 幹細胞を投与した精神疾患モデル動物の社会性機能行動と,投与細胞の脳内分布の解析を進めるとともに,(4) 成体での脳内新生も考えられているGABA系インターニューロンのシナプス形成能について,前駆構造体フィロポディアのアクチン運動を指標とした解析を進めた。さらに,(5) 認知機能への影響が推察されている薬物投与による脳諸領域と血中の関連因子の変動解析を進めるとともに,(6) 幹細胞投与による改善効果を報告した,子育て行動との関連で,ヒト子育て行動(プログラム)前後での,オキシトシン濃度変動の解析を進めた。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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