研究課題/領域番号 |
26461732
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
川勝 忍 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00211178)
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研究分担者 |
林 博史 山形大学, 医学部, 准教授 (00333956)
小林 良太 山形大学, 医学部, 助教 (80643189)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嗜銀顆粒性認知症 / アミロイドPET / アルツハイマー病 / アポリポ蛋白E / 前頭側頭葉変性症 / PiB / TDP-43 / タウ蛋白 |
研究実績の概要 |
嗜銀顆粒性認知症の診断は、A)臨床像所見として65歳以降の発症の軽度認知障害または認知症が存在し、1)進行が緩徐な記憶障害、または2)前頭側頭型認知症類似だがより軽度の人格変化(頑固さ・易怒性・攻撃性)、あるいは妄想などの精神病状がみられ、かつB)形態画像所見としてCTまたはMRI軸位断にて、しばしば左右差を有する側頭葉内側前部の萎縮(迂回回萎縮に相当)があること(必須)を基準として行った。嗜銀顆粒性認知症と診断した27例(前年度22例から増加)についてアミロイドPET(PiB-PET)を施行し、14例がPiB陽性、13例がPiB陰性であった。一方、比較対象とした晩期発症型のアルツハイマー病14例では全例がPiB陽性、前頭側頭葉変性症16例ではすべてPiB陰性であった。嗜銀顆粒性認知症では認知症症状が軽度のわりに側頭葉内側前部の萎縮が強く、半数でPiB陰性であった。PiB陽性例では、PiB蓄積に左右差を有する例が多かった。側頭葉内側前部の萎縮例でPiB陽性の場合は、嗜銀顆粒病理にアミロイド病理が合併する場合、あるいはアルツハイマー病でTDP-43 病理が合併している場合が想定され、両者の区別を臨床的に推測できないかが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおりに症例の蓄積を行っている。嗜銀顆粒性認知症と鑑別が問題になる、TDP-43 病理による前頭側頭葉変性症やアルツハイマー病に合併するTDP-43症例の剖検例7例を得たので、生前の画像所見との対比についても検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
限局性側頭葉萎縮例の中には、嗜銀顆粒性認知症の他に、海馬硬化症や晩期発症型の意味性認知症などのTDP-43蓄積による症例も含まれてくると考えられる。臨床的には、嗜銀顆粒性認知症では、側頭葉皮質の萎縮があっても、対応する意味記憶障害(語義失語や相貌に意味記憶障害)が出にくいのに対して、アルツハイマー病にTDP-43を合併する場合には、意味記憶障害が出現する可能性があり、鑑別点にならないかを検討していく。
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