• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

PTSDによる異性間の絆形成障害の脳内機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461734
研究機関群馬大学

研究代表者

三井 真一  群馬大学, 保健学研究科, 教授 (20295661)

研究分担者 高橋 麻衣子  群馬大学, 保健学研究科, 助教 (50701322)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードPrairie vole / SON / PVN / 絆
研究実績の概要

前年度までにオスのプレリーハタネズミにsingle prolonged stress (SPS)処置を施すとパートナーに対する嗜好性を示さなくなることを明らかにしている。今年度は、PTSDの治療にも用いられているセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の一つであるparoxetineを投与してSPSによるパートナー嗜好性の喪失に与える影響を検討した。オスのプレリーハタネズミにSPS処置を施し、翌日から10日間paroxetine 10 mg/kg body weightまたは同量の水溶媒を1日2回経口投与した。SPS後7日目から3日間メスのハタネズミと同居させた後、パートナー嗜好性テストを行った。水投与群ではパートナー嗜好性を示さなかったが、paroxetine投与群はパートナー嗜好性を示した。また、パートナーを提示した際のoxytocinおよびvasopressin陽性ニューロンの応答性をcFosの発現を指標に検討した。Paroxetine投与の有無にかかわらず、SPS処置により視索上核のoxytocinニューロンのcFos陽性細胞がSPS無処置群と比較して優位に増加していた。これらのことから、SPS処置によるパートナー嗜好性の消失にはセロトニン系の異常が関与していること、SPS処置は視索上核のoxytocinニューロンへの入力に影響を与えることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SPSによるパートナー嗜好性の消失に対してSSRIの経口投与が著効することを明らかにしたことで、トラウマによるセロトニン系の乱れが異性間の絆形成阻害の一因である可能性を示唆することができた。

今後の研究の推進方策

SPS処置によりラットでは恐怖記憶の消去が障害されることが知られているが、プレリーハタネズミでも同様の現象が生じるかを確認したうえで、パートナーとの絆の有無が恐怖記憶の獲得・維持に与える影響について検討を行う。また、脳室内などにセロトニン受容体の特異的阻害薬を投与した影響を検討することで、SPSによるパートナー嗜好性消失に関わるセロトニン受容体を特定する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] エモリー大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      エモリー大学
  • [雑誌論文] N-glycosylation modulates filopodia-like protrusions induced by sez-6 through regulating the distribution of this protein on the cell surface.2015

    • 著者名/発表者名
      Chiharu Hidaka, Shinichi Mitsui..
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 462 ページ: 346-351

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.bbr.2014.11.022

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] プレリーハタネ ズミの雌雄の絆(pair bond)はsingle prolonged stress(SPS)によって破綻する2015

    • 著者名/発表者名
      廣田 湧、吉澤 萌香、石澤 美衣;、佐藤 葵、民部 由莉、由利 和也、三井 真一
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-03 – 2015-12-03
  • [学会発表] 細胞形態の調節においてのsez-6のN型糖鎖の役割2015

    • 著者名/発表者名
      日高 千晴、三井 真一
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-01
  • [学会発表] Role of N-glycans to a function of a trans-membrane protein, seizure-related gene 6 (sez-6).2015

    • 著者名/発表者名
      Chiharu Hidaka, Shinichi Mitsui
    • 学会等名
      第58回日本神経化学学会大会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-13
  • [学会発表] パロキセチンはSingle prolonged stressによって阻害されたプレリーハタネズミのつがい形成を復元する2015

    • 著者名/発表者名
      新井 亜紀、廣田 湧、吉澤 萌香、石澤 美衣 、佐藤 葵、民部 由莉、Young J Larry、大迫 洋治、由利 和也 、三井 真一
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-07-30 – 2015-07-30
  • [学会発表] 一夫一婦制げっ歯類におけるパートナーロスによる痛みの修飾2015

    • 著者名/発表者名
      大迫 洋治、西原 真理、信原 玲子、内田 有希、牛田 享宏、三井 真一、Young J Larry、由利 和也
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-07-30 – 2015-07-30
  • [備考] 群馬大学大学院保健学研究科リハビリテーション学講座・三井研究室

    • URL

      http://mitsuilab.health.gunma-u.ac.jp

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi