研究課題
インスリン抵抗性は、インスリンに対する組織応答の低下を示す病態概念であり、糖尿病や高脂血症、高血圧などの動脈硬化因子が形成され増悪してゆくうえでの、共通した背景因子である。さらに近年、気分障害における内分泌学的異常に関する知見の蓄積により、気分障害患者は、コルチゾールや炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-alphaなど)の分泌亢進、自律神経バランスにおける交感神経優位性、あるいは肥満症などを介してインスリン抵抗性を形成しやすく、このため動脈硬化への脆弱性を有していることが明らかにされている。また、治療抵抗性気分障害において、その遷延化の背景に、脳MRI上白質高信号など動脈硬化性病変を高率に認めるなど、インスリン抵抗性の関与が示唆されるようになった。本研究では、老年期うつ病患者および健常対照群を対象として、脳MRI装置や採血検査、イオマゼニルSPECTなど多角的検査指標を用い、気分障害におけるインスリン抵抗性の関与を調べることを目的としており、現在20例ほどを収集済みであり、今後も症例数を増やして行く。
2: おおむね順調に進展している
研究調査を行うための倫理的手続きは完了しており、現在のデータ集積状況は20例である。研究終了までに40例ほどの収集を目標としている。
症例数を追加し、40例に達した段階でデータ解析を開始する。
患者群について当初計画した予定症例数に平成27年度内は到達しなかったため、繰り越しが生じた。
平成28年度内に患者群についても予定症例数を収集する方針である。
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PLoS One
巻: 11 ページ: e0150262
0.1371/journal.pone.0150262.
http://douglas.research.mcgill.ca/jamie-near