研究課題/領域番号 |
26461738
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高柳 陽一郎 富山大学, 大学病院, 講師 (40574942)
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研究分担者 |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医), 教授 (40236013)
高橋 努 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医), 准教授 (60345577)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統合失調症 / ハイリスク / 早期介入 / 脳形態 |
研究実績の概要 |
2014年度は、本研究に参加している3施設で、これまでに本研究のプロトコールに沿ったMRI撮像、臨床評価を終えている被験者(ARMS群79名と健常者75名)のデータ解析を行った。解析は2つの手法で行った。 ①FreeSurferを用いた解析 大脳皮質厚を半自動的に計測するFreeSurferを用い、2群(ARMSと健常者)もしくは3群(ARMS移行群、ARMS非移行群、健常者)で全脳レベルの比較を行った。ARMS群と健常者の比較では、ARMS群において両側の海馬傍回、紡錘状回、右側頭極など、側頭葉底面を中心に皮質の菲薄化を認めた。一方で左中心前回や鳥距溝周辺ではむしろARMS群で皮質は厚かった。ARMSの精神病移行群と非移行群間で有意な変化は見られなかった。 ②Labeled cortical distance mapping (LCDM)を用いた解析 LCDMは前部帯状回(ACG)、中前頭回(MFG)、上側頭回(STG)の皮質厚、体積、表面積を半自動的に正確に計測できるメソッドである。Johns Hopkins 大学のTilak Ratnanather准教授の協力のもと、解析を行った。本報告書作成時点でACGとMFGの解析が終わっている。ARMS群と健常者との比較では、ARMS群における右ACGの皮質厚の菲薄化と左MFGの灰白質体積の減少を認めた。ARMS移行群、ARMS非移行群、健常者の3群比較では、ARMS移行群における左ACGの表面積と右MFG灰白質体積の増加と、ARMS移行群・非移行群に共通した右MFG表面積の増加が認められた。 後者の解析結果は、本研究の主たる目的であるARMSから精神病性障害への移行に関連する脳形態変化の同定により近づいたと考えられるが、移行群の数が少なく(17名)、さらにサンプルサイズを増して強固なエビデンスを追求したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある程度のサンプル数で予備的解析を行い、ARMS群のうちで精神病性障害へ移行した群と移行しなかった群との比較で、有意な脳形態変化を確認することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主たる目的はARMSから精神病性障害への移行に関連する脳形態変化の同定である。予備的解析では目的に沿った有意が所見は得られている。しかし先行研究の所見より予見されたことではあるが、非移行群(52名)に比べ移行群はサンプル数が少ない(17名)ため、被験者の新規リクルートとすでにベースラインの撮像・臨床評価を終えている被験者の追跡を継続し、サンプル数を増し、より強固なエビデンスを追求したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた画像解析用のコンピュータを購入しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に画像解析用のコンピュータを購入予定。
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