研究課題
4施設(富山大、東北大、東邦大、東京大)において精神病発症危険状態(at risk mental state、ARMS)と診断された104名(うち21名が後に精神病性障害に移行した)と健常者100例以上の頭部MRIを撮像し、labeled cortical distance mapping (LCDM)やlocal gyrification index (LGI)を用いてARMS群における形態変化の検討を進めている。LCDMについては、海外研究協力施設のJohns Hopkins大学Center for Imaging ScienceのTilak Ratnanather准教授の技術的支援を受け、解析を進めている。研究代表者は2014年度に続き、当初の計画通り2016年度もJohns Hopkins大学へ出張し解析を行った。これまで、ARMS精神病発症群において前部帯状回の皮質圧が発症前より有意に菲薄化していること、ARMS精神病発症群では非発症群より後頭葉皮質のLGIが有意に上昇していることなどを見出している。つまり、将来の精神病性障害の発症に関連する脳形態変化が発症前から存在すことを示唆している。前者の成果についてはSchizophrenia Bulletinに原著論文として公表した。後者の成果も現在国際誌に投稿している。この様な脳形態変化が臨床応用、すなわちサロゲートバイオマーカーとして利用できるか否か、今後検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
多数例のMRI画像の撮像及び臨床評価・追跡を終えており、国内・国際学会における研究成果を発表し、原著論文として国際誌に成果を公表している。
今後は臨床応用、すなわち発症予測を主眼とした解析を行う。多変量の線形判別分析やサポートベクターマシンを用いた非線形判別分析などを行い、脳画像で将来の精神病発症がどの程度予見可能か検討する。
画像解析用ワークステーションが想定より安価であったこと、及び海外出張の滞在日数が当初の想定より短期間であったため。
国際学会・国内学会において研究成果を公表するための旅費に充てる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Schizophrenia Bulletin
巻: 43 ページ: 907-913
10.1093/schbul/sbw167