研究課題
今年度は主にメルボルン神経精神センター(MNC)の磁気共鳴画像(MRI) データベースから選択した症例の脳画像を用いて嗅溝形態の評価を行った。その結果、精神病発症の高危険群であるat-risk mental state(ARMS)において、後に精神病を発症する群ではしない群と比較して両側性に有意に嗅溝が浅いことを見出した。しかし、双極性障害患者群においても同様の嗅覚の形態変化を認めた。これらの結果から、嗅溝形態は精神病性障害の発症に先立ち存在する発症予測マーカーとなりうるが、臨床応用のためには疾患特異性の検討が必要であると思われた。また富山大で蓄積したデータを用いて嗅溝形態と統合失調症の疾患候補遺伝子(DISC1)多型との関連を調べたが、有意な関連は見出されなかった。富山大学附属病院において、新たに健常群、ARMS群、および統合失調症群を対象にMRI撮像およびT&T オルファクトメーターを用いた嗅覚機能検査を開始し、症例の蓄積を行っている。
2: おおむね順調に進展している
メルボルンデータの画像解析においては、当初予定していたARMS群での結果に加え、双極性障害軍での結果も公表することができた。一方、嗅覚機能と脳形態の関連については予備的検討の段階である。富山大附属病院での症例蓄積は概ね順調に進んでいる。
海外の共同研究者と密に連絡をとり研究を推進していきたい。施設内での研究は順調に進んでおり、現行通り着実な症例蓄積を継続したい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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