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2014 年度 実施状況報告書

神経ネットワークに着目した電気けいれん療法の作用機序の解明-脳波の非線形解析-

研究課題

研究課題/領域番号 26461740
研究機関福井大学

研究代表者

岡崎 玲子  福井大学, 医学部附属病院, 助教 (90647778)

研究分担者 高橋 哲也  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00377459)
上野 幹二  福井大学, 医学部, 助教 (50600152)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード電気けいれん療法 / 神経ネットワーク / 脳波 / 非線形解析 / マルチスケールエントロピー解析 / 自閉症スペクトラム障害 / 強迫性障害
研究実績の概要

電気けいれん療法(Electroconvulsive Therapy:ECT)は治療抵抗性の統合失調症やうつ病、カタトニア、パーキンソン病の治療法として幅広く用いられており、その有効性は高く、薬物療法にも勝ることが示されている。その作用機序として、神経ネットワークを担うモノアミン系の改善などが指摘されているが、未だ不明な点が多く、ECTの効果を反映する実用的な生物学的指標は確立されていない。一方、精神疾患に共有される神経基盤の有力な候補として“神経ネットワーク障害仮説”が注目されており、うつ病や自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders:ASD)においても様々な脳機能研究によってその存在が明らかとなっている。
本研究では、うつ病患者に加えASD患者を対象に施行されたECTによる脳波変化をMSE解析を用いて評価し、臨床症状変化との関連性を検討した。
うつ病では、ECTによって、高周波数帯域における複雑性の低下が認められ、この変化はうつ症状尺度(HAM-D)における改善と関連した。ASDでは、ECTの施行に伴って、前頭中心部では高周波数帯域での複雑性が低下し、後頭部では低周波数帯域での複雑性が上昇した。これらのECTに伴う脳波変化は、臨床症状尺度およびBDNF値の変化と関連した。さらにこれらの脳波変化は、ECT治療後には治療前のレベルに戻る傾向にあった。
気分障害や発達障害の発症機序、さらにはECTの治療効果メカニズムおいて、γ-アミノ酪酸(GABA)が重要な役割を果たし、また脳波のγ波活動(高周波数帯域)はGABA神経活動を反映することが知られている。今回、うつ病およびASDで共通して認められた前頭部中心部での高周波数帯域における脳波の複雑性の低下は、GABA神経活動と改善と関連した機能変化であり、ECTの治療効果を反映している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

被験者の人数が十分でない。その理由として、当該施設におけて薬物治療難治性うつ病で電気けいれん療法の適応となる症例が少なかったことが上げられる。

今後の研究の推進方策

被験者数を増やす。
当初の計画には盛り込んでいなかったが、対象を薬物値治療難治性うつ病のみならず、他の精神疾患で電機けいれん療法の適応となった症例についても検討し、電気けいれん療法の治療メカニズムを探る。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度より開始しているが、現在も進行中であり研究協力者への謝金などにおいても遅れが生じているため。

次年度使用額の使用計画

被験者に対する謝金、研究データ収集・解析への人件費、データ管理に用いる物品費、血中の脳由来神経栄養因子、血管内皮細胞増殖因子を測定するための検査費、情報収集・成果発表に伴う旅費、論文発表の経費として活用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Changes in EEG complexity with electroconvulsive therapy in a patient with autism spectrum disorders: a multiscale entropy approach.2015

    • 著者名/発表者名
      Okazaki, Tetsuya Takahashi, Kanji Ueno, Koichi Takahashi, Makoto Ishitobi, Mitsuru Kikuchi, Masato Higashima, Yuji Wada.
    • 雑誌名

      Frontiers in Human Neuroscience.

      巻: 9 ページ: 106

    • DOI

      10.3389/fnhum.2015.00106. eCollection 2015.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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